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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第42回

2012年のスマートフォン業界の動向はここに注目!

2011年12月28日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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Android以外ではどうなる?
Microsoftの逆襲はあるか? RIMは?

 Android以外では、「Windows Phone 7.5」をリリースしたMicrosoftがどのぐらい追いつくのかも気になるところだ。頼みの綱となるNokiaが欧州市場などで最初のWindows Phone端末を投入。米国市場での展開も1月前半に予定されており、動向が注目される。Windows PhoneはHTC、Samsung、LG、ZTEなどが搭載機を開発しているが、2012年にはベンダーとともに、開発者とアプリを増やし、エコシステムを構築できるだろうか? 元Symbian愛好家のRafe Blandford氏によると、Windows Phoneのアプリ数は5万に達しているとのことで、Digitimes Researchの調査でも2012年のWindows Phoneのシェアは6.2%と展望している。

NokiaのWindows Phone端末の第1弾となる「Lumia 800」


 Microsoftが並行して進めているのが、特許ライセンスだ。Samsung、HTCなど主要Androidメーカーとクロスライセンス契約を締結しており、主要Androidメーカーでは唯一締結していないMotorolaとは先週、特許訴訟を持ち込んでいた米国際貿易委員会(ITC)でMicrosoftは1件の特許について、Motorolaが侵害しているという仮判定を勝ち取っている。

 Microsoftとは異なり、販売差止めを求めて正面から戦うのがAppleだ。HTCやSamsungなどと世界各国で繰り広げる特許訴訟、そのほとんどが2012年に持ち越しとなったが、この状態が2012年にも続くのだろうか?

 また窮地にあるResearch In Motion(RIM)も、2012年になんらかの方向性が決まるかもしれない。RIMに対しては、ライバルのMicrosoftが距離も縮めており、2社はRIMが「Bing」をデフォルトの検索エンジンとすること、MicrosoftがBlackBerryのサービスに投資することなどの提携を結んでいる。


 モバイル向けOSでは、AndroidとWindows Phone以外に年末にもう1つの代替OSが誕生した。HPの「webOS」だ。webOSは今後、オープンソースプロジェクトとなることが決まっているが、AndroidやWindows Phoneに代わる選択肢となるのか?

 MeeGoなど、これまでAndroid対抗を目指して立ち上がったオープンソースモバイルプラットフォームはいずれも起爆できなかったし、Androidがリードを固めたことで出遅れ感もあるが、1つの注目ポイントだ。まずはベンダーを獲得できるのかが最初の試金石となる。

アプリケーションでは
アプリストアとHTML5への移行に注目

 スマートフォンの推進役であるアプリケーションの動向も気になる。これまでスマートフォンでは、世界的ヒット作の「Angry Bird」(Rovio)をはじめ、ゲームカテゴリーが人気の中心である。だが、それ以外のキラーアプリはないのか? その模索は続きそうだ。11月にサンフランシスコで開催されたモバイルカンファレンスで、あるベンチャーキャピタリストは、カテゴリー別での一押しは“出会い系”と言い切った。共通の要素としては「位置情報とソーシャルをどう組み込むか」であり、これにより既存アプリも大化けする可能性がありそうだ。

 だが、米国でもっとも注目されているのは、SNSの雄Facebookの動きだ。現在、各OS向けのアプリをアプリストアで提供するにとどまるFacebookだが、プラットフォームを開発中で2012年か2013年に登場するといううわさもある。HTCなどが開発したFacebookフォンは実際には大きなヒットにいたらなかったようだが、Facebookがどのようにモバイルを攻略するのかは業界全体の注目となる。

 アプリケーションでは流通でも変化があるかもしれない。現在、スマホアプリのほとんどが、App StoreやAndroidマーケットといったアプリケーションストアで提供されているが、2011年夏にFinancial Times(FT)はHTML5を利用したWebアプリを発表。App Storeから離脱した。今後、知名度のある企業はFTと同様にWebアプリだけで展開するところが出てくるかもしれない。

アプリストアの束縛を逃れるべくHTML5ベースのアプリやサービスが増えていく?


 アプリマーケット自体も、AppleやGoogleといったOSベンダーが提供するマーケットだけではなく、ブラウザーを提供しているOpera Softwareが「Opera Mobile Store」を開始するなどの動きがあった。今後競争により機能が充実し、課題とされている発見やナビゲーションが改善されていくと期待したい。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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