ソニーからウォークマンの最上位機種「Z1000」シリーズが発売された。実売価格は、内蔵メモリー16GBのモデルが2万6000円前後、32GBモデルが3万2000円前後、64GBモデルが4万円前後だ。
Android 2.3採用が注目されているが、私のような既存のウォークマンユーザーにとって、それはあまり大きなトピックではない。最大のポイントは“音質”なのである。
従来比で400%アップぐらいの音質
音声信号の出力処理を最適化した新開発のデジタルアンプ「S-MASTER MX」を採用。ジッター除去処理を増幅の直前にするなどで、ノイズの歪みを極力小さくし、原音に忠実な音の再生が可能になったという。
要はメインのアンプの機能自体はそのままに、信号処理経路を見直した、という話だったと理解している。最初にその話だけを聞いた段階では、それでどこまで音が良くなるのか正直疑問だった。
しかしながら、前世代のS-MASTERを搭載した「ウォークマン A840」シリーズと実際に聞き比べてみると、その音質は圧倒的に向上しており、正直「もうA840には戻れない」耳になりつつある。
A840も決して音が悪いわけではないのだが、Z1000は音の解像感がとても高まっているように感じた。例えば1つ1つの楽器、合唱における一人一人の声が結構聞き分けられる。打楽器を叩いたあとの反響音までも感じられる。
加えて、圧縮時に失われた高音域をクリアに再現する「DSEE(Digital Sound Enhancement Engine)」や、左右チャンネルの音の混在をなくしてクリアなステレオサウンドを実現する「CLEAR STEREO」など、従来から継承するさまざまな音響技術が音に厚みを持たせる。
さらに、「ヘビー」や「ポップス」など4種類のカテゴリー+2種類のカスタム設定を選べるイコライザー機能により音を好みに調整できる。ちなみに、ここで設定できる「CLEAR BASS」は重低音を強化する機能だが、最大(3)にしてもそれほど効きすぎることはなく、程よい重低音を感じることができる。
バーチャルサラウンド機能の「VPT」を有効にすると、音に広がりが生まれる。こちらはカスタム設定はないが、「スタジオ」「ライブ」といった項目から選択する。効果は「スタジオ」が一番小さく(音の広がりが狭く)、「ライブ」→「クラブ」→「アリーナ」というように強く(音の広がりが広く)なっていく。
もちろん、デジタルノイズキャンセリング機能にも対応するほか、Z1000はスピーカーも内蔵しており、ヘッドフォンを抜けばスピーカー再生に切り替わる。その音質もAndroid端末としてはかなりいいレベルで、やはり音楽再生機であることを再確認させられた。
ちなみに、S-MASTER MXはZ1000シリーズ以外に、下位モデルの「A」シリーズにも搭載されている。Z1000の幅70.9×奥行き11.1×高さ134.4mmという本体サイズは、ポータブルプレーヤーとしては正直大きい。「Android端末じゃなくていいからもう少し小さいのがいい」という方はAシリーズを選ぶといいだろう。