江戸時代の郊外……つまり世田谷区や杉並区や練馬区や大田区といった都心部を囲むように配置されているエリアは、江戸に農作物を供給する一大農業地帯であり、街中に中小河川や農業用水が張り巡らされていて、その水を使って人々は農耕生活をしていたのである。
でも、戦後の高度成長期に入り、農地がどんどん住宅地になり、小河川や用水路に生活排水が流れ込むようになり、その汚臭が問題となってきた。
そこでどうしたか。川に蓋をしちゃったのである。そういう「蓋をされた水路」を「暗渠」(あんきょ)と呼ぶ。
一見「川を埋めちゃった」ように見えるが、実は地下に水路が残っていたり、下水管などに置き換えられたりして「地中の水路」として生き延びているのだ。
そうした暗渠の多くはクルマは入ってこないし、人通りも少ないし、隠れるところもたくさんあるしで、猫的には大変いい場所なのである(やっと猫の話になった)。
だから、暗渠上をカメラをぶら下げて散歩していると……ほらいた。
門番のように塀の上に座って日向ぼっこしている白黒猫を発見。じっとしているのであやうく見逃すところだった。暗渠両脇のフェンスが、かつて川があったことを物語っている。
目が合っても逃げる素振りがないのでそーっとカメラを持って近づいて、やあ、って感じで撮影。
立派な体格の猫で、毛並みもきれいなのでこの辺のうちで飼われているのだろう。実はこの猫の肉親らしき猫も発見。模様がそっくりだから兄弟に違いない。
でもこちらは警戒心が強くて、近寄れないので(兄弟で性格が違うのは猫の世界でもよくある話)、塀の隙間からそーっと撮ってみた。驚かしてごめん。

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