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重複排除が「フラッグス・キャパシタ」として機能

テープから脱却!バラクーダが目指す完璧なバックアップ

2011年10月20日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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3・11の大震災以降、磁気テープでのバックアップの限界を感じ、ディスクへのバックアップ(D2D)へ移行するユーザーも増えている。バラクーダの担当者にテープバックアップの課題や同社のバックアップソリューションについて聞いてみた。

テープのバックアップは信用できるのか?

 古くからサーバーのバックアップで使われてきたのが、磁気テープである。磁気テープは物理メディアであるが故、可搬性が高い反面、交換やリストアなどが面倒という弱点を抱えている。バラクーダネットワークス(以下、バラクーダ)のワールドワイドセールスの統括責任者であるマイケル・ヒューズ氏は、「テープのバックアップは4割方うまくいかない。輸送の際の紛失や破損もあるし、元に再現できないことも多い」と指摘する。

バラクーダネットワークス ワールドワイドセールス 統括責任者 マイケル・ヒューズ氏

 バラクーダはこうしたテープからの脱却を提唱し、北米では2008年からバックアップソリューション「Barracuda Backup Service」を展開している。これはサーバーのバックアップをネットワーク経由でD2D(Disk to Disk)ストレージで集約することで、テープ交換やリストアの手間といったテープの弱点を解決するものだ。ヒューズ氏は、「(長年使ってきた)テープを捨て去ることにストレスを感じるユーザーは確かに多い。しかし、いったんD2Dを導入すると元には戻れない。ユーザーのほとんどは、テープから完全移行している」と、D2Dバックアップについてこうアピールする。

 Barracuda Backup Serviceはアプライアンスだけではなく、遠隔へのクラウドバックアップをパッケージ化しているのがポイントだ。米国のバラクーダのクラウドサービスへのバックアップのほか、アプライアンス同士でバックアップすることもできる。3・11の大震災以降、DRに関しては高い関心が集まっているが、こうした仕組みがあれば、容易にデータを遠隔に保存できる。

 とはいえ、ネットワーク経由のバックアップであるため、帯域やCPUなどがボトルネックとなる。このボトルネックを解消するのが、送信元と宛先でデータを比較し、同じデータを送受信しないようにする重複排除の技術だ。

データを削減する重複排除

ある学校の重複排除でのデータ削減例

 Barracuda Backup Serviceでは、送信元で重複排除を実行し、送信するデータ自体を減らし、バックアップ時間を大幅に短縮する。ヒューズ氏は映画「バックトゥーザフューチャー」で時間を飛び越える技術として採用されている「フラッグス・キャパシタ」を引き合いに出したが、重複排除によって送受信するデータを削除し、クラウドバックアップを現実解にするわけだ。ヒューズ氏は、「ある学校は、15台のWindowsサーバー、5台のSQL Server、1台のExchangeサーバーで35TBあったデータ量を重複排除で2TBにまで減らした。重複排除率は1/40だ」といった導入実績を紹介する。

単なるバックアップから「企業版iCloud」を目指す?

 もちろん、アプライアンスベンダーである同社が、ソフトウェアやクラウドを含んだパッケージを手がけることに不安を覚えるユーザーもいるかもしれない。しかし、実際はテープバックアップのソフトウェアで有名なヨセミテソフトウェアやサービスプロバイダーのビットリーブなど長年の実績を持った会社をバラクーダが買収することで、実現しているため、安心できるという。

 同社はすでにバックアップにとどまらない次の展開も検討している。「近々では、仮想化環境からのリカバリも可能になる。リカバリオプションもより実用的になり、高速に環境を復旧できる」(ヒューズ氏)。また、バックアップデータにインデックスを付け、アーカイブとして機能させたり、さまざまなデバイスでコラボレーションできるようにする予定だという。こうなると単なるバックアップサービスの域を超え、「企業版iCloud」のようなイメージになってくるだろう。

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