──ほかにPalette UIの役目はありますか?
松本 弊社は今後、iモードで提供してきたサービスをスマートフォンにも移植して提供する予定です。たとえば「iチャネル」のようなものですね。そういったサービスと、スマートフォンの連携を高めるにはどうしたらいいか? ということを考えました。仮に、弊社がホームアプリを提供していないとすれば、我々にできることはアプリやウィジェット、それからライブ壁紙を提供するくらいに限定されると思います。しかし、ホームアプリを提供していれば、別の方法も含めて、それらのサービスを、よりお客様に伝えやすくなると考えたのです。
──「橋渡し」という意味では、フィーチャーフォンからスマートフォンへのユーザーの乗り換えが増えることを期待した面もあったのですか?
松本 そうですね。2011年夏モデルから、多くのユーザーがフィーチャーフォンからスマートフォンへ移行すると予想しています。フィーチャーフォンの場合、左のボタンを押すと着信履歴だとか右を押すとリダイヤル、のようなある種の“作法”のようなものがあると思います。そういったフィーチャーフォンにある“作法”を踏襲することで、フィーチャーフォンからスマートフォンへ移行してきた人の、操作に対する抵抗感の敷居を下げるという意味もあります。
松本 その一方で、Androidにおける「作法」を崩さないということもポイントの1つです。
──具体的にはどういうことでしょう?
松本 ホーム画面があって、アプリの一覧があって、というのはAndroid端末のスタンダードな構成だと思います。他社の某端末などでは、そういった「作法」をあえて外れてホーム画面とアプリ一覧を融合するような形になったものもありますが。ウィジェットを使い込んでいくうちにユーザーにとってホーム画面が使いにくくなってしまう可能性もあのではないかと思います。
──Androidの標準仕様から外れすぎないということですね。
松本 そうです。またAndroidの場合、OSのアップデートが頻繁に行なわれます。これまでの傾向を見るに、アップデートではホーム画面の仕様に大きな変化があることが多いようです。そのため、UIをあまりに独自仕様にしてしまうと、対応するのに時間がかかってしまうことが予想されるのです。OSのアップデートに迅速に対応するという意味でも、Androidの「作法」や「仕様」から外れ過ぎていないほうが望ましいんですね。そういったことを考え、ムリしすぎない範囲で可能な工夫を盛り込んで、Palette UIのデザインや仕様を考えました。
──なるほど、では次回はそのへんの苦労話などを重点的に聞かせてください。
フィーチャーフォンとスマートフォンの橋渡し的に誕生したPalette UI。動きの速いスマホの世界に翻弄されつつも、多くのユーザーの意見を取り入れ、スマホ移行組に違和感なく使ってもらうためにどのようなアイデアが採用されたのか? 本インタビューの後編ではPalette UIの核心に触れていく。
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