6段配列のキーボードは異端か必然か?
最後にキーボードに関して。ThinkPadというと7段配列を頑固に守り続けているのが特徴だが、ThinkPad X1では6段配列でしかも独特な形状のキートップを持つ。見た目という意味ではシンプルなThinkPad X1の印象に大きく寄与しているが、このあたりが操作感にどう影響するかが気になる向きもあるだろう。
まずキーボードの薄型化によって、占有面積と重量が減ったという点は注目したいポイント。筆者は16:9のワイド画面になるとキーボード部分の奥行きが相対的に減るので、ムダを省いた省サイズのマシンを作るために6段配列の採用は止むを得ない部分なのではないかと考えている。ユーザーには「Break」や「SysReq」キーが何のためについているか分からないと思う人すらいるだろうから。
(とはいえこの部分にこだわり続けてきたのはThinkPadの哲学そのものだし、キーボード右端に「PgUp」「PgDown」が縦に並んでいるのは、以外に利便性が高いと感じているのだが……)
配列に関しては慣れでカバーできる部分だが、タッチ(フィーリング)に関してはこだわりたい。特にキーボードが普通のThinkPadというのでは魅力は何割か減じてしまう。
このあたりのこだわりに関しては開発者から十分なこだわりを聴くことができた。まず心地よいキーフィーリングと静かなキーサウンドに関しては従来同様こだわっている。まずキーのうち心地を決めるポイントとしては、キートップがぐらつかず、底板に安定感があることが挙げられる。
アイランドタイプというこで、構造としてはアルミ製のベースプレートの上にプラスチック製の化粧板が置かれているが、これを熱溶着し一体化することで、底板の剛性が高まっているという。またフックで両側面からキーボードを固定する構造とすることで、周辺部の浮きを抑え、筺体にピッタリと張り付いたステイプルなタッチのキーボードができている。
ThinkPadのキーボードはユーザー交換可能な点が一つのウリ。そのために化粧板の側面にスライドして固定するロックが設けられているが、結果的にこれがキータッチの向上につながったようだ。
なお、ThinkPad X1では従来の液晶ベゼル部分に設けられたキーボードライトではなく、白色LEDを使用したバックライトタイプとなっている。実はこの部分の設計にも苦労したそうだ。トラックポイントのためのパーツが中央部にあるため、一般的なノートパソコンのようにキーボードのどこか1辺にLEDを配置し、導光板で全体に拡散させるという手法がとれなかったため。
そこでキーボードの中央部に9個のLEDを配置。その向きを細かに変えることによって光を分散させるという手のかかる方法を用いている。キーキャップと化粧フレームの間から均一かつ適度な明るさで漏れるようにするために、試作を重ねたという。