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3つの観点から見る、ThinkPadのテクノロジー

史上最薄ThinkPad、その実現のため技術者が取り組んだこと

2011年06月23日 06時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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薄くても壊れない、ThinkPadならではの堅牢性

 一方堅牢性の観点で、今回ハードルとなったのは薄型化したディスプレー。冒頭に書いたようにゴリラガラスの採用がひとつの売りになっている。このディスプレー部のたわみをどうするかがThinkPad X1開発の課題のひとつになったそうだ。

 ThinkPad X1の筺体は底面(ベースカバー部)がマグネシウム合金、内側(パームレスト部分がマグネシウム合金やプラスチック)、LCDカバーがマグネシウム合金をそれぞれ使用している。

側面から見た素材

 基板などが含まれる底部に関して、最も重要なのは冷却ファンの高さをどれだけ削るか。これは上にのべたようにTシリーズの約半分の高さになっている。一方で、薄型にするとたわみが生じやすくなるので、これによってプラスチック部分が割れたり、HDDや基板にストレスがかかったりといった弊害がある。

 またThinkPadの場合、トラックポイントという突起部分があるので、これがピンポイントでディスプレー面に当たり、破損の原因にならないか配慮しなければならない。そのため、従来のThinkPadでは頑丈な囲み(ロールケージ)で周囲を覆い、内部に適切な遊びを設けていたが、ThinkPad X1では少々異なるアプローチで、堅牢性を確保している。

ディスプレーの表示部分はフラット。コーナーの部分がゴムで固定されているのがお分かりいただけるだろうか

 ひとつが液晶部分の取り付け方。通常はディスプレーの額縁部分(LCDカバー)にしっかりとネジ止めするが、今回は全面を覆うように取り付けられている硬質なガラス(ゴリラガラス)のみに固定し、その全周を幅広のラバーで囲んで、かかった力を分散させる構造としている。

 ゴリラガラスの変形と一体化することにより、液晶部が補強されるのはもちろんだが、仮に接触面にピンポイントのストレスがかかった場合でも、力が全体に拡散する。ThinkPad X1のフラットなディスプレー部分はデザイン面でもスタイリッシュな印象を与えるが、実は薄型化と強度を両立するためにも重要な意味を持っていたのだ。

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