在宅勤務もセキュアにするモビリティ製品
モビリティ関連では、無線LAN製品が大幅に拡充された。複数の無線LANアクセスポイント(以下、AP)を統合管理するコントローラーの新製品が登場したほか、在宅勤務の環境にオフィスと同じセキュリティを確保できるユニークなAPもお目見えした。
Cisco Aironet 600シリーズ Office Extended AP(OEAP)
在宅勤務専用の小型無線LANアクセスポイント。IEEE802.11nに対応するAPだが、社内にいるのと同じ利便性とセキュリティを実現するためにDTLSというプロトコルを用いたVPNを構築できる。
DTLSはTLSの拡張プロトコルで、TCPは制御にのみ用い、データ伝送にはUDPを使えるため、マルチメディア伝送に強い。「家庭がオフィスと同じ環境になり、セキュリティも担保される。個人と会社のトラフィックを自動的に識別し、分離することも可能だ。IPsecやSSLではなく、DTLSを使うことで、ビデオや音声も利用できる」(木下氏)。また、家庭内での利用を前提に、電波干渉の多い2.4GHz帯だけではなく、5GHz帯もサポートする。
Cisco 2500シリーズ Wireless Controller
Cisco 2500シリーズ Wireless Controllerは、中小規模オフィス向けの無線LANコントローラー。無線管理、ポリシー管理、IPS、音声やビデオのコントロールなどを実現する。小型のボックス型筐体を採用する。
Cisco Flex 7500シリーズ Cloud Controller
Cisco Flex 7500シリーズ Cloud Controllerは、最大500カ所の拠点、2000台のAPを管理するコントローラー。2万台のクライアントの設定や管理、トラブルシューティングをデータセンターから行なえる。
その他、Catalyst 6500スイッチやCisco ISR G2に増設するタイプの無線LANコントローラーも追加された。
レベルの高い運用管理を実現するCisco Primeシリーズ
運用管理に関する課題に関しては、統合管理ツール「Cisco Prime For Enterprise」を提供する。今までトラブルは起こっても、「サーバー、ストレージ、ネットワークなど異なる技術者が集まって、どこが悪いか検討してきた」(木村氏)といった問題を抱えてきた。これに対して、同社は仮想化、可視化、自動化などの軸とした運用管理環境を推進してきた。今回提供される「Cisco Prime for Enterprise」では、アプリケーションからインフラまで一気通巻の監視を実現する。無線と有線の統合管理が可能になったほか、メディア診断やパフォーマンス最適化、Trust SecやEnergyWiseなどのサービスプロビジョニングまで行なえる。
製品はCisco Prime NCS(Network Control System)、Cisco Prime LMS(LAN Management Solution)、Cisco Prime NAM(Network Analysis Module)の3製品が用意される。また、トラフィック分析を実現するためのルーター用モジュールも提供される。
2年越しでいよいよ完成に至ったボーダレスネットワークは、従来のLANが抱えてきた課題を解決するサービスを多層的に配した新しいエンタープライズネットワークだ。今後は「ボーダレス」を体感したユーザーの声をぜひ聞きたいところだ。