5年後に日本市場のトップを取りたい!
製品開発において、「音質」「デザイン」「シンプリシティー」の3点を掲げるフィリップス。特に音質評価には、厳しい認定制度にクリアしたエンジニアたちの耳が活かされている。最後に日本法人 コンシューマーライフスタイル事業部 事業部長の長谷川 敦氏にFidelio DS9000について聞いた。
── 往年のオーディオファンの中にはフィリップスを特別な存在に感じられている方もいるのでは?
長谷川 「フィリップスとしては1980年代以来の取り組みとなります。とはいえ当時のスタッフはほとんど残っておらず、新規といってもいいと思います。現在の日本ではフィリップスは電動歯ブラシやひげそりの会社で、音楽をやっているというイメージに結び付きにくいかもしれません。しかし、音響ビジネスはグローバルでは大きく、昔から大事にしてきた分野でもあります」
── 音作りという点で重視している点は?
長谷川 「変に低音や高音を利かせすぎたりせず、バランスのいい音を作るというのが基本思想です。フィリップスは“Golden Ears認定プログラム”という独自の教育プログラムを持っています。現在の開発拠点は香港。R&Dの一部がベルギーにありますが、約40名がこの認定を受けています。直近では200人が受験してパスしたというは8人だけという難関です」
── 数週間の研修のあと、パソコンのソフトを使った実地テストが実施されるそうですね。ピンクノイズから特定の帯域を削って、どの周波数が弱いかを判断させるなど、内容も興味深いものです。
長谷川 「根底には(オーディオ開発に最も重要な耳の育成を)属人的なものではなく、世界中どこでも実現できるようにしたいという狙いがあります」
── 5年後には市場のトップに躍り出るという野心的な想いをお持ちだそうですが、Dockスピーカー市場は現在どんな状況でしょうか。
長谷川 「Dock端子が付いているオーディオやアクティブスピーカーのマーケットは100~200億円程度あると思います。音楽の聴き方が変わってきており、音楽視聴はPCが中心。めまぐるしいマーケットなのでやってみないと分からない面はありますが。CDやラジオはなくても構わないと人が増え、モデルの比重が上がってきています」
── 価格の選択についてはどうでしょうか?
長谷川 「市場は二極化しています。平均売価は9000円程度ですが、一方でBOSEやB&Wといった企業のハイエンド商品があります。今回の商品は、安かろう悪かろうは嫌だが、オーディオに7~8万円は払えない層がターゲットです。実はここがホワイトスペースになっています。もっと伸びてもいい領域だと思いますね」
── 海外ではDLNAやAirPlayに対応したモデルも登場していますが、国内市場にも展開されるのでしょうか?
長谷川 「グローバルではこれ以外にもさまざまな製品があります。USB接続やワイヤレスといった領域にも市場を見ながら対応していきたいですね」