2月10日、EMCジャパンは1月に全世界的に発表された新製品群の中から、ユニファイドストレージ「VNX」についての説明会を行なった。「高くて使いにくい」というEMCストレージのイメージを刷新する「簡単さとお手頃感」を大きな売りとする。
CLARiXとCelerraを統合し、新たにVNXへ
発表会の冒頭、EMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏は全41製品を刷新した1月の発表を振り返りつつ、ミッドレンジ、さらにローエンドのストレージ市場について説明した。
この市場においては、メールやオフィス文書、画像など非構造化データが伸びているが、一方で導入・運用コストの削減、仮想化への対応も重要になるという。しかし、「どの会社に行っても、サーバーもストレージが乱立しています。また、ファイルサーバーは部門ごとに導入されていて、情報システムから手を出しにくい状況でした」(山野氏)という。こうしたなか顧客の環境をなるべくシンプルにして行こうというコンセプトの下、ファイルサーバー統合はもちろん、データベース、メール、仮想化など、さまざまな用途で利用できるよう設計された万能ストレージが「VNX」である。
EMCというとハイエンドストレージのイメージが強いが、SANストレージの「CLARiX」とNAS「Celerra」などのミッドレンジストレージも高いシェアを誇っており、最近ではSANとNASの両方とも使えるユニファイドストレージとしてアピールしている。このCLARiXとCelerraを統合したのが、ミッドレンジのユニファイドストレージ「VNX」になる。「ハイエンドに近い機能を持つ製品にも関わらず、200万円台からスタートという戦略的な価格で提供する」(山野氏)ということで、導入しやすさが大きな特徴となる。
簡単・効率的なユニファイド・ストレージ
続いて製品概要に関して、プロダクト&ソリューションズ統括部 マネジャーの中野逸子氏が説明した。まずVNXはデータセンター、部門システムなどをターゲットにしており、ファイルサーバーの見直しやSANやNASの統合、仮想化などで利用できるという。
VNXは4UのFC専用モデル「VNX5100」から5~8Uの「VNX7500」まで5ラインナップを用意し、ハイエンドのVNX7500では最大2PBを実現する。インテルの最新CPU、大容量メモリなど最新のハードウェアを採用し、接続性もFCoEや10GbEなどを確保する。ドライブに関しては、6GB SASのインターフェイスを搭載し、HDD(高速なSAS HDD/低速なSAS HDD)はもちろん、SSDも搭載可能。価格も最小2TB(300GB×8本)のVNX5300(NAS構成)で税込212万円を実現した。
低価格ながら、仮想化対応も充実しており、複数のディスクを単一のストレージプールとして統合し、SANやNAS経由でボリュームを提供できる。また、アクセス頻度によりデータの保存ディスクをダイナミックに変更する自動階層化機能「FAST VP」のほか、フラッシュをキャッシュとして活用する「FAST Cache」、物理容量以上のボリュームを仮想的に割り当てるシンプロビジョニング、そして余剰データを削除する「重複排除・圧縮」VMwareとのAPIレベルの連携などの機能を網羅する。GUIツール「Unisphere」を用いた設定・管理機能も充実しており、「1台ですべてをカバーする万能ストレージといえる」(中野氏)。なお、FC専用のVNX5100は、自動階層化には対応しない。
4月にはエントリ向けの「VNXe」も新たに投入
もう1つ、エントリ向けの「VNXe」というラインナップも用意している。こちらは同社が未開拓ともいえる中堅中小企業をターゲットとしており、2Uの「VNXe 3100」と3Uの「VNXe 3300」の2機種が用意される。FAST VPなどはサポートされないものの、シンプロビジョニングや重複排除などの機能は提供される。
さらに、VMware、Hyper-V、ファイル共有、ボリューム、Exchangeなどの設定ウィザードを持っており、ボリュームの割り当てがきわめて容易になったという。こちらは販売体制の整備を進め、4月から販売開始される。VNXのエントリモデルということで、戦略的なプライスも期待される。「とにかく簡単」という点が強調された製品だけに、実際にどのように動くか興味深い。