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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第43回

ネットに強いCDレーベル「LOiD」も消滅

迷走する音楽ビジネスに活路はあるか【前編】

2011年01月15日 12時00分更新

文● 四本淑三

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設立のタイミングはムチャクチャ悪かった

―― じゃあ、いかにきついかったか、という話を伺いましょう。まずLOiDを始めるまでの話をお願いできますか。

村田 muzieという音楽配信サイトでバイトをしていたのが始めです。そのmuzieに、NTTスマートコネクトとエイベックス・マーケティングが出資するという形で設立されたのがハッチ・エンタテインメントだったんですけど。

現在のmuzieは、ハッチ・エンタテインメントが有限会社ミュージーから運営を引き継いだ形だが、会社消滅に伴いエイベックス・マーケティングが継続して運営する模様

―― 母体がmuzieだったということですね。

村田 運営に関わっていた人はみなmuzieの人たちでした。そもそもmuzieからメジャーアーティストを出す、というコンセプトだったみたいです。

―― ハッチの設立は、ネット系のミュージシャンがニコニコ動画の方に移り始める微妙な時期でしたよね。

ハッチ・エンタテインメントは2007年8月23日付けで設立。ニコニコ動画が(γ)から(RC)に切り替わったのが2007年6月18日(写真は「γ」時代のログインページ)

村田 だからタイミングはムチャクチャ悪かったですね。自分でも「歌ってみた」を上げたりしてた頃だったんですが。

―― えっ! それ、今でも見られるんですか?

村田 さすがに非公開ですよ! その頃はまだ、自分で録って編集もしてないようなものもいっぱいあったので、今みたいに映像のクオリティがものすごく高くなってしまうと、あまりにも恥ずかしくて……。

―― 2007年の夏というと、「初音ミク」が発売された時期でもありますよね。そこはまだ視野に入っていなかったんですか?

村田 ハッチを始めた頃にちょうど出てきたんですね。エンジニアの人から初音ミクというのが出た、という話を聞きまして。

―― その後LOiDレーベルとしてアルバムが出るわけですが、これは当然VOCALOIDを意識したネーミングですよね?

村田 VOCALOID文化が2~3年経ったら落ち着くだろうと、そのときに文化を圧縮したレーベルがあったらいいよね、というのがひとつです。そしてもうひとつは、そこを超えていこうと。両方の意味があったんです。

―― でも最初からVOCALOIDを使ったタイトルは出してませんよね?

「少女の空想庭園+ / cosMo × 真優」(2009)

村田 最初にcosMoくんと歌い手さんのアルバムを出したときは、Amazonのコメント欄がものすごかったんですよ。人間に歌わせるなんて何なんだ! という調子で、当時はまっぷたつに割れてました。

―― むしろ否定派のほうが多かったような。

村田 ですね。今は今は歌ってみたのほうが主流になってきて「人が歌ってこそ」という人もいるし。だから何があるか分からないです。

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