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国際標準プレーヤー「DivX HiQ」ついに日本上陸

最早ただのコーデックに非ず! DivXは未来に何を描く?

2011年01月18日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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ハリウッドも認めた ハイビジョン映像を支える技術

 海外では日常的に行なわれている映画のダウンロード配信。ハリウッド映画作品のほぼ6割がDivX形式で提供可能となっており、自宅にいながらにしてDivXプラットフォームで高品位の映画を楽しめる。

自社の映画作品のイメージを損ねず高品位な配信ができるプラットフォームでかつ、ライセンス管理もしっかり行なわれているとして、ワーナー・ブラザース、パラマウント、ソニー・ピクチャーズなど名だたる企業が認めている(DivX社の資料より)

コンテンツの配布形態もさまざま。媒体を問わない利便性の高さを示す証といえる(DivX社の資料より)

 翻って、日本での映画ダウンロード配信は成功するのか? 普及への障害、もしくは施策の有無などについても伺ってみた。

―― DivX.comのページを開くとまず目を引くのがハリウッド映画をDivXで楽しめるというアナウンスかと思います。これは日本でも普及するのでしょうか? この手の技術には必ず利害関係が絡んできて、海外ではすんなり成功を収めたにもかかわらず、日本では遅々として進まないという事例も見かけますが……。

ランデロス 配信可能作品の制作会社には、ワーナーブラザースやソニーピクチャーズさんなどの大手が入っています。これらの制作会社は、DivXのDRM(Digital Rights Management:正規の購入者のみが視聴でき、不正にコピーしても再生ができないように管理する仕組み)を利用したコンテンツの流通を公認しています。

―― ハリウッド映画作品のイメージを損ねない映像・音声クオリティとライセンス管理機能が大手映画配給会社の多くに認められているわけですね。

ランデロス 日本での映画配信については、確かに複雑な権利関係などが障壁となるかもしれません。そして私たちDivXは、コンテンツを配信するコンテンツホルダーではなく、コンテンツの再生を可能にするプラットフォームの提供なので、アンコントローラブルなところも多く、最前線に立って調整を行なうことができません。

 しかし、ユーザーに一番近いところに位置しているのは我々です。それはPCユーザーという限られた枠ではなく、コーデックの存在を知らずにデジタルAV機器を使っている多くの一般的なユーザーも含めてのものです。ですから消費者の声を代弁し、映画配信を成功に導いていきたいと思っています。

―― 「日本人は形にないものにお金を払わない」という議論があります。これは普及が進まない原因の1つと考えていますか? 携帯電話や携帯音楽プレーヤーの普及で「サービスに対価を支払う」という意識は高まりつつありますが、金・土の夜になるとレンタルビデオ店の駐車場に入庫待ちする車列を見る限り、そう思えて仕方がないのですが……。

世界では様々なコンテンツプロバイダーがDivX形式で映画配信を行なっている。DivX社のWebページでは13社が紹介されている。そのほとんどは、アメリカなどの各国内向けとしているが、ワールドワイドで配信を行なっている企業も存在する

ランデロス 確かに日本では、ビデオをオンラインで購入して見るという行為は海外、特に欧米に比べると一般的ではありません。日本は国土全体にテレビの電波が行き届き、基本的に無料です。しかし国土の広いアメリカでは、全土に電波を配信するのが難しいだけでなく、近所にレンタルビデオショップがあるとは限りません。車で往復しただけで映画1本観れてしまうでしょう(笑)。

 ですからアメリカではSTB(セットトップボックス:テレビと接続して有償チャンネルを観るチューナー)が浸透していて、コンテンツにお金を払って観ることに慣れ親しんでいます。日本でもこの数年でアクトビラなどが使われ始めていますね。

 もう1つの要因は、プレミアムコンテンツの権利保有の構造が日本とアメリカでは大きく違うという点。日本ではコンテンツプロバイダーがすべての権利を持っているわけではないことが非常に多いのです。

 流通の方々は『売れるコンテンツなら売りたい』と思ってはいるものの、ストリーミングだけでなくダウンロードでも販売したいとなるとさらに敷居が高く、模索しているところと聞いています。

 また洋画ですと、楽曲の著作権管理の仕組みが異なるということもあり、実際に洋画を中心としたサービスを行なっているところが多いですね。DivXもその辺りからやっていけるのではないかと思います。あとは――アスキー・メディアワークスさんが一緒にやってくだされば(笑)。あと3年、いや、もっと早く日本でも実現化したいですね。

―― ところで、ハイビジョン映像+5.1チャンネル音声をインターネット経由でキレイに配信できるのか? という基本的なことについて伺いたいのですが……。

ランデロス ファイルサイズにすると、例えば720pの1時間のHDコンテンツで、2GBあればほとんどの方が満足する品質になると思います。

―― それは字幕も入れての計算ですか?

ランデロス フォントを埋め込むのでなければ、字幕はそれほどファイルサイズに影響しませんね。

DivXのフルハイビジョン映像のサンプル。地上デジタル放送は、1440×1080ピクセルの映像を送信して、テレビ側で横に1980に引き伸ばしている。DivXの映像は正真正銘のフルハイビジョンスペックの1980×1080ピクセルを採用

―― 2GBで1時間だとすると、ビットレート換算で4Mbpsぐらいになるかと思いますが、H.264(MPEG-4)で4Mbpsでもキレイな映像になるのですか?

ランデロス 私も不思議なのですが(笑)、本当にキレイなんですよ。ただ、例えばアクション映画の爆発シーンで、末端にブロックノイズが出てしまうといった圧縮ビデオ特有の欠点もあります。

 とはいえ、ビットレートが可変のVPRをサポートしているので、最大で20Mbpsまで割り当てられます。平均ビットレートが4Mbpsであれば、ADSLで一番細い契約でも、十分再生可能でしょう。

―― パーソナルユースでの使い方についてお聞きします。DivXを使えばマルチトラック音声の映像をカンタンに作れますが、字幕も自分で入れられるのでしょうか?

ランデロス もちろん字幕を自分で入れることもできます。DivX Plus Converterに字幕ファイルとビデオファイルを持っていくだけです。これで8つまでの字幕トラックを切り替えて再生できます。

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