デジカメ写真や動画の撮影、編集にハマると、数100GB~数TBものデータ量になってしまうことは珍しくない。2度と手に入らないオリジナルの重要なデータだが、このサイズになるとクラウドサービスに保存することも難しくなるので、扱いに困るところ。
そこで活用されているのが、複数台のHDDを利用するRAIDだ。しかしRAIDでも、運用方法によっては十分にデータを保護できないことがある。今回は「RAID 6対応NAS」を使って、万一の際もデータを失わないようにする技を紹介しよう。
重要なデータをRAID 5だけで守ろうとするのは危険
HDD 1台でパソコンを運用している場合、HDDが故障したらデータも終わりだ。とはいえ、光学メディアにバックアップするにも、片面2層のBD-Rディスクでさえ50GBしかないので、1TB分のバックアップなら20枚も必要になる。データ転送速度やコストを考えると、HDDのバックアップにもHDDを使うのが一番手軽。そこで活用したいのがRAIDだ。
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)とは、安いHDDを複数台組み合わせて、冗長性を持たせる仕組みのこと。冗長性とは「余っていたり重複している情報がある」という意味で、RAIDを構成するHDDの一部が故障しても、データ全体を守れるのが特徴だ。
RAIDにはいくつかのモードがあり、それぞれ動作が異なる。一般的な製品で採用されているのは、「0」「1」「1+0」「5」だ。「RAID 0」は高速化を目的にした特殊な使い方で、冗長性はない。RAID 0を構成するHDDのうち1台でも故障したら、全体のデータが失われてしまう。
「RAID 1」は2台のHDDに同じデータを書き込む方式。速度は上がらないが常にまったく同じ内容のHDDが存在するので、片方が故障しても、交換用HDDにつなぎ替えるだけで済む。「RAID 1+0」は4台のHDDを利用して、2台で構成したRAID 0のボリュームをRAID 1でバックアップする仕組みだ。ファイルを保存できる容量は全体の半分となるが、高速性と冗長性の両方が得られる(関連記事)。
「RAID 5」は、複数台のHDDのうち1台分の容量を丸ごと「パリティ」(誤り訂正符号)に利用する方式だ。例えば4台のHDDでRAID 5を組むと、3台分の容量を利用できる。RAID 5を構成しているHDDのうち1台が故障しても、残りのHDDからデータを再構成できるのが特徴である。分散読み書きのためRAID 1やHDD 1台よりも少し高速になるうえ(RAIDコントローラー次第ではあるが)、冗長性も確保でき、容量も効率的に利用できるので人気の方式となっている。
とはいえ、実のところRAID 5はさして安全とは言い難いのだ。まずRAID 5を構成するHDDのうち1台が故障すると、冗長性がまったくない状態になる。パリティがあるので、1台が故障した状態でもデータの読み書きは行なえる。故障に気づかなかったり、手元に交換用の新しいHDDがなかったりした場合、そのまま続けて利用したりすることもある。だが、これは危険きわまりない状況だ。
RAID 5で故障したHDDを新しいHDDに交換すると、データの再構築が始まる。しかし、再構築が終わる前に障害が起きると、全データを失うことになるためだ。しかも、再構築にかかる時間は非常に長い。1台500GBのHDDなら、再構築処理に軽く1晩はかかってしまう。しかもその間は、すべてのHDDがフル稼働するという高負荷状態が続くのだ。この再構築中に、もう1台のHDDが故障する可能性は意外と高い。
故障と書いたが、1セクターでも壊れてリードエラーが起きるだけで、再構築ができなくなる。長期間使い込んだNASや大容量のHDDを利用しているなら、この危険性は無視できない。
そこで、お勧めなのが「RAID 6」だ。
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