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電子書籍は「文庫本」の延長線上に 高杉良氏が語る

2010年09月17日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部  写真● 小林伸

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しゃべった瞬間には、その先を見ている

高杉 同じような話として、渡邊さんは会社の外でよく講演をするんですよね。そこでほとんどすべての情報を明かしてしまう。それでいいと。それがなぜかと言うと「ウチはその先を行くから」と言うんです。だから、どんどん話してしまう。

―― すごいですよね。普通はオリジナルの技術が出来たら、そのノウハウが外に出ないよう、ひたすらブロックすると思います。

高杉 そこはまったくちがいます。ほとんどオープンにしています。前向きなんですよ。何かをしゃべった瞬間には、その先を見ているわけです。

―― そんなユニークさ、オープンさの源はどんなところにあるんでしょうか。

高杉 渡邊さんには、先見性はもちろん「優しさ」があると思います。たとえばワタミではよく移動をしながら会議をすることがありまして。バスで移動中での会議とかです。香港の空港で役員会をしたことがあったんです。そのとき、シンガポールからのフライトが遅れて、栗原さんという方が、なかなか来なかったんですよ。

 栗原さんはワタミフードサービスの社長をされた方でした。ただ、抜擢してから数ヵ月したとき、「まだ時期が早すぎた」ということで、シンガポールの子会社に回されていたんです。

 そのとき、渡邊さんがぼくに「ちょっと強く言いすぎたかもしれない……」と言っていたんです。栗原さんが来るまで、ずっと心配していた。彼がいざ顔を出したときは、ものすごく喜んでましたよ。

渡邊氏がいま目を向けていることの1つに、教育問題があるという

―― なるほど。「誰かのことを思う」がすべての行動のカギになっているんですね……。最後の質問になりますが、現在は会長という職に就いている渡邊氏が、いま目を向けているのはどこなんでしょうか。

高杉 ワタミグループのさらなる強化と教育でしょう。政府委員として学校の株式会社化に反対したことにも、彼の教育に対する強い問題意識が出ています。

 彼は、日本の経済はヤワじゃないとも言います。日本人はバカじゃないよと。今は弱っている。でもここから、かならず盛り返してくるだろうと。その意味ではやはり、いまの若者に期待しているところが大きいと思いますよ。


新・青年社長 上・下巻

 佐川急便のセールスドライバーから資金を貯め、「社長になる」という夢を実現させた、居酒屋チェーン「和民」の創業者・渡邉美樹。株式上場の実現後も、本当の企業人として戦う日々が続く。実名経済小説の傑作! (出版社の内容紹介より)

 発行:角川書店(角川グループパブリッシング) 価格:各1785円

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