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電子書籍は「文庫本」の延長線上に 高杉良氏が語る

2010年09月17日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部  写真● 小林伸

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 日本の経済小説家といえば現在、高杉良氏を抜きには語れない。

 銀行の汚職・不祥事を生々しく描いた書き下ろし小説「金融腐蝕列島」は、90年代に空前の大ベストセラーを記録。その後も同シリーズは、金融ビッグバンに端を発する4大メガバンクの統合・合併を鮮やかに描写し、まさに経済小説の金字塔を打ち立てた。

新・青年社長(上巻)

 その高杉氏が今回挑んだのは「新・青年社長」(上・下巻)。ワタミグループ・トップの渡邉美樹氏をモデルにした実名経済小説「青年社長」の続編だ。

 注目を集めたのは、内容はもちろん、刊行を1週間後に控えた6日間、「小説の全文をインターネット上で読めるようにする」という大胆な方策だ。

 ビジネスの最前線を取材しつづけた高杉氏がいま、渡邉氏に注目しているのはどこなのか。そして、「無料」をカギとするインターネットの出現をどうとらえているのか? 詳しく話を聞いた。


電子書籍は「文庫本」のようなもの

―― 今回の新刊では、1週間限定といえ、インターネットで全文を無料で公開するという大胆な方法をとられましたね。

高杉 ええ。ですが、それは出版社の方でやっていただいていることなので、ご随意にどうぞ、という感じでした。

―― 現役作家の方でそうあっさり答えられる方は珍しいんじゃないでしょうか。

高杉良氏

高杉 どうして? インターネットと活字、今は両方あるでしょう。たとえば、ぼくなんかは活字人間だから、そういうのは持っていないんです(記者のiPhoneを指して)。どちらもあっていいと思う。だからご自由に、ということですね。

―― 「タダで読めたから」で買わなくなってしまう読者より、「話題で増える読者」の方が重要だろうと。

高杉 そう難しいことは考えていませんが(笑)。まあ、経済小説を書いてきて、そこそこ売れる作家にはなりましたからね。だから出来たところもあると思うんです。うぬぼれで言っているわけではなく、(書いてきたものに)自信はありますからね。

―― 電子書籍についてはどう考えていますか?

高杉 この前の作品(「青年社長」)は電子書籍化しています。しかも、2社から出ていて、それぞれ価格も違います。それは、紙の「文庫本」の延長線上にあるものと考えればいいんじゃないかと。ぼくの場合、同じ本でも、何年か経つと別のところから出て……ということが続いている。それを考えれば、別に普通じゃないのかなと。

―― 紙の書籍と、電子書籍が「世代交代」するという意見もあります。

高杉 絶対量も多少は減っているんですかね。初版の刷り部数は減ってきているようですけど、こうして新刊が出れば、文庫(既刊)に響きます。紙が衰退して傾いていくということにはならないだろうと思います。電子書籍が出てきた結果、相乗効果が出てくれば一番いいでしょうね。

電子書籍と紙の書籍は併存するのではないかと予想する

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