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「翁-OKINA 秘帖・源氏物語」単行本、文庫、電子書籍を同時発売

夢枕獏氏、ニコニコで読める小説「今やることに意味がある」

2011年11月29日 22時46分更新

文● ASCII.jp編集部

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 作家・夢枕獏氏の新刊「翁-OKINA 秘帖・源氏物語」(角川書店)が、12月2日に刊行される。六条御息所の生霊が葵の上に憑依する、源氏物語「葵の巻」を大胆にアレンジした内容。あとがきにも「すみませんが傑作です」と書いている通り、かなりの自信作だ。

 「源氏物語なのになぜか陰陽師が登場」という刺激的な中身もさることながら、注目は「単行本/文庫/電子書籍の同時発売」という展開方法。電子書籍はBOOK☆WALKERで販売し、ドワンゴのWebサービス・ニコニコ静画でも読めるようになる。

 ニコニコ静画版は、ニコニコ動画のように読者のコメントが付けられるのが特徴。今回の作品には「どういうことかこの後分かります」「夕顔は、実は頭中将とも関係のあった女性」といった形で、編集部の注釈があらかじめテキストコメンタリーとして入っている。

電子書籍上にコメントが付けられるのがニコニコ書籍の特徴。今作では編集者のオーディオならぬ“テキストコメンタリー”があらかじめ入った状態で配信される

 角川映画「源氏物語」の公開を間近に控えての刊行。29日には記者会見が開かれ、角川書店取締役会長の角川歴彦氏、夢枕獏氏の2人が顔を揃えた。

ここでやらないと、見えるものが見えない

 これまで数年間にわたり、Webと本の関わり方を考えつづけてきたという夢枕氏。ニコニコ静画での展開について「楽しそうな部分と怖いようなところがある」とした上で、「今だからそれをやる意義があるのでは」と意欲をみせた。

 「とにかくここでやらないと、見えるものが見えない。やることによって何かが見えてくるはず」。そう語る夢枕氏は、ロッククライミングにたとえ、「手の届くところにあるホールドをつかむことで、“次”が見えてくる。新しい地平が見えてくると期待しています」とも話した。

作家・夢枕獏氏(60)

 それまで夢枕氏が懸念していたのは、電子書籍の流行によって紙の本が売れなくなり、市場そのものが崩壊してしまうのではないかということだ。だが、Webでの小説連載などの経験を経て、今はまったくちがう考え方になっているという。

 「紙の本が大好きだったので、『えーっ電子ブックかー』というのは何年か前にはあった。だが、電子書籍が売れたからといって紙の本が売れなくなるということはないだろう。(新人が)良い形で参入できるチャンスではないか」(夢枕獏氏)

「電子書籍が売れたからといって紙の本が売れなくなるということはないだろう」と話し、電子書籍への意欲を見せた

 角川会長はこの話を受け、「リアルな本にはリアルな本の魅力がある」という点を強調した。単行本/文庫本/電子書籍の同時展開については「この時期(映画公開のタイミング)に出すことが、単行本も文庫本も電子書籍も最大の販売チャンスである」とした上で、今回のような展開を今後も続けていくかという質問には「そうではない」と首を振った。

 「今回の売り方だけが答えというわけではない。本には1つ1つ売り方があり、編集者がどう本を作るか、そして営業がどう本を売るかというのは永遠のテーマ」(角川歴彦氏)

 とはいえ3媒体を通じての同時刊行は角川書店としては初の試み。書籍、映画、そして“Web”という新たな媒体はどんなメディアミックスをして、読者はどんな反応をすることになるのか、発売後に見えてくるだろう“次”の風景に期待がかかる。



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