まずは、利用条件の確認から
Windows Server 2008の仮想化機能「Hyper-V」を活用しよう
2010年09月14日 09時00分更新
Hyper-Vの準備
Hyper-Vのインストールをする前に、いくつかの確認と準備作業を行なおう。まず、インテルまたはAMDのx64対応CPUを搭載するPCが必要だ。x64は、インテルi386の流れをくむ32ビットプロセッサ(いわゆるx86)を64ビットに拡張したアーキテクチャである。インテルでは「Intel 64(旧称EM64T)」、AMDは「AMD64」と呼ぶ。加えて、CPUが仮想化支援命令とデータ実行保護機能(DEP)をサポートしていなければならない。仮想化支援命令は、仮想化を利用するために追加された機能で、インテルは「Intel VT」、AMDは「AMD-V」と呼んでいる。
もう1つのDEPは「Data Execute Prevention」の略で、データ領域として設定されたメモリ上に配置された命令の実行を禁止する機能だ。インテルは「Execute Disable Bit」、AMDは「拡張ウイルス防止機能(EVP)」と呼んでいる。WindowsのハードウェアDEP(データ実行保護)もこれを使う。
仮想化支援命令とDEPは、いずれもBIOSで有効/無効を設定できる。PCによってはCPUに仮想化支援機能が備わっていても、わざと無効にしている場合がある。また、BIOSは最新のバージョンに更新することをお勧めする。特に、2007年以前のBIOSはHyper-Vをサポートしていないことが多いため、不具合の原因となりやすい。
メモリとハードディスク、NICの確認
サーバ仮想化を利用するには、親パーティション用に加えて子パーティション用の物理メモリが必要となる。親パーティションであるWindows Server 2008用に512MBを確保し、さらに子パーティションが使うメモリを確保すべきだ。仮想サーバに十分な物理メモリが割り当てられない場合、仮想サーバの起動に失敗する。
ハードディスクは1台でも構成できるが、性能面を考えると子パーティション専用のディスクを用意するとよい。Windows Server 2008を子パーティションにインストールすると、それだけで6GBから10GBを消費する。ネットワークインターフェイスは1枚でも構成できるが、実用上は2枚以上あったほうが望ましい。この理由は、以降の回で詳しく説明する。
Windowsの確認
Hyper-VはWindows Server 2008の64ビット(x64)版に搭載される。32ビット(x86)版やItanium版は、Hyper-Vに対応しない。また、64ビット版であっても「Windows Server 2008 without Hyper-V」ではHyper-Vは利用できない。必ず
- Windows Server 2008 Standard
- Windows Server 2008 Enterprise
- Windows Server 2008 Datacenter
のいずれかを使う必要がある。
製品版のWindows Server 2008には、Hyper-Vのベータ版が含まれている。正式版のHyper-Vを利用するには、Windows Updateなどを使って修正プログラム「KB950050」をインストールする必要がある。なお、ベータ版のHyper-Vをインストールしてしまった場合は、いったんHyper-VをアンインストールしてからKB950050をインストールし、そのあとでHyper-Vを再インストールする。Hyper-Vの修正プログラムもいくつか公開されているので、可能であればすべての重要な更新をインストールすることが望ましい。
次回は、Hyper-Vのインストール方法を紹介していこう。
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