このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

電子書籍端末、電子マネー、日本は2周遅れなのか?

2010年09月03日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
台北電脳応用展

台北世界貿易中心で開催された「台北電脳応用展」

タッチ+クラウド+3Dがテーマの「台北電脳応用展」に行ってみた

 「台北電脳応用展」(Taipei Computer Applications Show=第20回 2010年8月5~9日)というイベントを、短時間だがのぞいてきた。台北でコンピュータショウといえば、世界最大規模をほこる「COMPUTEX TAIPEI」があまりにも有名。この台北電脳応用展は国内ショウで、わたしも一度来たことがある。今回は、メーカーブースは多くはなかったが、とにかく熱気が凄くて驚いた。

Garmin-Asus M10

Garmin-AsusのWindows Mobile搭載端末「M10」

 COMPUTEXに行ったことのある方はすぐに規模感がつかめるはずだが、台北世界貿易中心(台北ワールドトレードセンター)のメイン会場だけを使って開催。今回のテーマは「Touch 雲瑞 3D新視界」ということで、「Touch」はもちろんタッチ、「雲瑞」とはクラウドコンピューティングの意味、「3D」というのは、いうまでもなく3D表示のことだ。

 いまや世界のスマートフォン市場で大きな存在となっている、HTCのブースはやはり人気。HTCは、米国のWebサイトを見ると28モデルもの端末を発売しているが、その主力はAndroidに移っているのはご存じのとおりだ。このショウでも、「Smart」や「Wildfire」(どちらもコンパクトなデザインの端末)など、日本ではまだ馴染みのないAndroid機をユーザーに触らせていた。

 台湾といえば、ポータブルナビ(PND)の生産台数もかなりのものだが、iPhoneやAndroidが出てきて業界が大きく動きだしている印象を受ける。それを代表するのが、GARMINとASUSTeKが一緒にやっている、Garmin-AsusのスマートフォンタイプのPNDだ。Windows Mobile搭載PNDの「Mio DigiWalker」も展示していたが、Garmin-Asusの「M10」も、Windows Mobile搭載である。

台湾は電子書籍端末に本気だ!

BENQ K60

台湾BenQの電子書籍端末、「BENQ K60」

 今回、この電脳応用展に来ようと思ったのは、電子書籍端末が出ていると聞いたからだ。左の写真は、「BENQ K60」という電子書籍端末。台湾角川と共同で『YOUNG GUNS』という人気マンガに新作2巻分を加えて、9600台湾ドル(約2万6000円)で発売した端末を展示していた。標準端末は8900台湾ドル(約2万4000円)で、日本のイーブックジャパンとBenQの合弁によるeBookTaiwanから、すでにマンガをダウンロード購入できる。コンパクトで、タッチ画面の操作性も悪くない。

 いちばん派手に電子書籍端末を展示していたのは、コンピュータ業界関係者ならご存じの、ディスプレイメーカーViewSonicだ。廉価な6000台湾ドル(約1万6000円)クラスの端末から、電子書籍業界で注目を集めている「VEB632」も展示されていた。これは、作家・金庸の膨大な著作を収録した、いわばハード込みの全集もの的商品。金庸は、日本でも徳間書店などから翻訳が出ている武侠小説の大御所で、いま電子書籍端末を買える層が、それなりにお金に余裕のある人たちということだろう。

 テーマとなっている「タッチ」と「クラウドコンピューティング」と「3D」に関しては、日本や米国などを含めた各メーカーが対応商品を展示。iPad型のピュアタブレットは見かけなかったが、電子書籍端末は、一説には台湾では10種類ほど登場していると聞いた(会場では上記2社しか見なかったが)。

 「電子書籍端末は普及するのか?」と展示ブースで聞いたが、「普及する」というストレートな答えが返ってきた。電子ペーパー業界は、Kindleで使われているE Inkもいまや台湾資本(電子ペーパーの世界シェア60%という台湾PVI社が買収)。SiPixとともに台湾メーカーの動きが目立つ。台湾の業界的にもこれをコンピュータに次ぐ台湾の主力商品にしたいというのがありそうだ。


 (次ページ、「台湾でいちばんインパクトを受けたこと」に続く)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ