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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第64回

価格性能比に優れたK7でシェアを伸ばしたAMD

2010年08月16日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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K7世代のAMD CPUロードマップ

K7世代のAMD CPUロードマップ

Thoroughbred/Bartonで終幕を迎え
Athlon 64へ移行

 続く2002年には、0.13μmプロセスに移行したThoroughbredコアが登場する。当初製造された製品は消費電力が多く、動作周波数が上がらないため一度配線をやり直した(配線層を一層追加)ものが後追いで出荷される。これにより、0.13μmのまま2GHz超えまで引っ張ることになる。

ThoroughbredコアのAthlon

ThoroughbredコアのAthlon

 この時期のAMDは、インテルのPentium4との争いになっており、動作周波数競争に引きずり込まれていた。そのためAMDは、「モデルナンバー」と呼ぶ新しい商品表記を投入してこれに対抗することになる。

 このThoroughbredコアもまた、Athlon MPやMobile Athlon 4向けの展開をすることになるが、Duron向けの「Applebread」に関しては、今回は専用ダイではなく、Thoroughbredコアを流用して2次キャッシュのみを制限する形でリリースされた。

 実はその前に、Thoroughbredをベースにした「Appaloosa」というDuron専用ダイを作る予定があったのだが、DuronブランドがCeleronにくらべて大きく劣っていたため※2、Duronブランドそのものが廃止の方向に向かい、Appaloosaはキャンセルになってしまった。しかし、低価格向けにThoroughbredをそのまま売ってしまうといよいよASP(平均販売価格)が下がってしまうので、差別化のためにDuronを復活したという感じだ。

※2 CeleronがPentium 4ベースに移行したことで大きく性能が上がり、Duronとの性能ギャップが非常に大きくなってしまったため。しかし、インテルでもPentium 4とCeleronの性能差が逆に縮まってしまい、彼らも苦悩することになった。

 この時期AMDは、ハイエンドには「K8」ベースの「Athlon 64」を投入し、メインストリームをThoroughbredや後継の「Barton」でカバーすることを考えた。Bartonは当初、Thoroughbredの構造はそのままに、プロセスのみ(Athlon 64と同じ)130nm SOIプロセスを使って高動作周波数化することを予定していた。ところが、AMDは130nm SOIプロセスの開発に難航し、ほぼ1年ほど予定が遅れてしまった。

BartonコアのAthlon

BartonコアのAthlon

 そのためAMDは急遽Bartonの計画を変更。130nm SOIプロセスの採用をやめて、代わりに2次キャッシュを2倍(512KB)に増やした新Bartonを開発する。これを2003年2月に投入し、Athlon 64が投入されるまでの中継ぎとして活躍することになった。

 その後、AMDはAthlon 64に製品の軸足を移し、Athlon XPは事実上のバリュー向けとして扱われていた。だがK7とK8、2種類のアーキテクチャーが混在するのはわかりにくい(製品にも互換性がない)ということもあり、Duronに変えて新たに「Sempron」というブランドを作り、ここにThoroughbred/Bartonベースの製品をまず投入。そのあとからK8ベースの製品を投入する形で、アーキテクチャーを移行させた。

 結果から言えば、これにより何とかアーキテクチャー移行は完了した。だが移行途中はと言うと、同じモデルナンバーを持つ「K7のSempron」と「K8のSempron」が混在するという、非常に紛らわしい時期が存在していた。スムーズに移行できたとはやや言いがたい感もある。

 K7アーキテクチャーの最後の製品は、ThoroughbredベースのMobile Athlon 4をベースにした「Geode NX」である。これはVIAのCPU「C3」ベースの「Eden」プラットフォームに対抗することを目論んだ製品で、組み込み向けに投入された。そう悪くない性能と手軽な価格、低い消費電力が相まって日本でも一時期大分もてはやされたりもしたのだが、肝心のAMDの方針転換などで、いつのまにか廃番になってしまい(組み込み向けの長期供給保障対象製品なので購入は可能)、K7アーキテクチャーの幕はひっそりと閉じることになった。

今回のまとめ

・1990年代後半、「K6」の開発に難航していたAMDは米NexGen社を買収。同社の「Nx686」をベースに1997年4月に「AMD-K6」を投入した。K6シリーズは「K6-2」「K6-III」へと発展していく。

・サーバーCPU市場への食い込みも目指した新アーキテクチャーの「K7」は、「Athlon」として1999年に登場した。改良型の「Thunderbird」コアは価格性能比に優れ、AMDのシェア向上に貢献する。

・「Palomino」コア以降は、同一コアをベースにサーバー向けとモバイル向けの派生版を提供する方向性が確立。続く2002年の「Thoroughbred」、2003年の「Barton」へと続く。しかし、その後は「Athlon 64」へと移行して、K7は収束していく。

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