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Twitterでできること、ほかのツールが得意なこと

2010年07月29日 11時00分更新

文●大和久聖也

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 Twitterは店番のようなもの。ネットショップを持っているなら、もはや利用は必須といっても過言ではありません。ここで注意すべきは、ソーシャルメディアマーケティングの「先進国」アメリカの事例です。確かにアメリカのWebメディアにはソーシャルメディアの成功事例が溢れています。しかし、FacebookとTwitterで大成功した小売店という記事を読んで、実際にそのネットショップのFacebookページを見ると、議論が数か月間途絶えていたり、Twitterのフォロワー数が9人しかいなかったりすることも珍しくありません。どうやら、ソーシャルメディアのコンサルタント企業が自社をアピールするために、ソーシャルメディア関連のブログやWebメディアに華々しい実績を掲載しているようなのです。

 さらに日本とアメリカでは利用できるWeb環境に大きな違いがあります。まず、日本ではFacebookはほとんど利用されておらず、SNSを利用したマーケティングはmixiが中心になります。しかし、mixiには一時ほどの勢いがなく、mixiでコミュニティを開設しても、どれだけユーザーが集まるか疑問です。また、日本には「2ちゃんねる」「はてなブックマーク」など、独自に発展したソーシャルメディアが存在し、米国で影響力のあるサイトがなかなか入り込めない原因にもなっています。さらに、いわゆる「ガラパゴスケータイ」の機能や普及度合い、ユーザーのリテラシーやプライバシー意識の違いなど、日本でソーシャルメディアを使ったマーケティング活動を計画するなら、日本の事情をきちんと考慮するべきです。

 今回は、Twitterで何ができるか、他にどんなツールを併用したらいいのかについて紹介しようと思います。


Twitterが店番なら、井戸端会議や商店街の大売り出しは?

 ソーシャルメディアが新しいのは、人々のリアルなコミュニケーションをWebに置き換え、メディアの体裁を取っていることだけです。まったく新しいコミュニケーションだと思っていると、完全に方向を見誤ります。日本では「村社会」が古臭いものとされ、都会では隣に住んでいる人の職業すらわからないほど社会が希薄になってしまいました。ここはぜひ、両親の田舎を訪れたときや子どもの頃の活気ある商店街を思い出して、地域社会がどんな風に情報をやりとりしていたか、一緒に考えてみましょう。


ソーシャルメディアの活用方法

 ソーシャルメディアマーケティングは、すでにあるコミュニティを利用して商品を宣伝する、ある意味で「ずるい」宣伝手法です。したがって、はじめから宣伝目的の新参者はコミュニティの仲間とは認めてもらえないと思いましょう。リアルな社会でいえば、仲間と認められるための儀式として、町内会主催の野球大会への参加、公園の清掃、商店街のゴミ拾いなどがあり、メンバーとしての義務を果たすことが重要です。では、ソーシャルメディアで仲間と認めてもらうにはどうしたらいいでしょうか。

 まず、ネットショップにはそれぞれの業界がありますので、普通に考えればそれぞれの業界の著名人、著名企業をフォローすることになります。同じ商店街のお店のアカウントをフォローしてもよいですが、おそらくこれだけでは会話が成り立ちません。そこで、小さなネットショップだけにできるのが店長の趣味コミュニティへの参加です。

 インターネットではリアル社会ではなかなかつながりを持てない同士の元気なコミュニティがたくさんあります。たとえばガンダム好きの店長がガンダムのオンラインゲームにはまっているなら、オフ会などに参加してガンダム好きのコミュニティに入ればいいのです。オフ会の幹事をやったり、ゲーム内で活発に発言したりすることが、リアル社会でいう公園掃除のような儀式を経ることになり、仲間と認めてもらえます。こうして信頼を勝ち取った上で、お店の宣伝を嫌みにならない程度にすればいいのです。ゲーム内のアカウント名として屋号や商品名を使えば、本名を明かさなくても大丈夫です。

 コミュニティでの連絡は、Twitterが最適です。誰でも後から確認できますし、積極的に発言しないメンバーにもメッセージが伝わります。リアル社会の井戸端会議として、Twitterを使うのです。井戸端会議でネットショップのことを話題にしてもらうには、コミュニティに参加しているだけの特典を設けるとよいでしょう。たとえば、「注文時の通信欄に、オフ会で使った店の名前を書いてくれたら10%割り引くよ」など、親しさをベースにした特典を用意するわけです。

 ただし、Twitterだけではネットショップの存在は広く伝わりません。井戸端会議よりも広い範囲で有名になるには、地域全体で話題になるような仕掛けが必要です。リアル社会であれば、大売り出しセールが口コミで伝わるようなものです。また、「息子が甲子園に出場した揚げ物屋さん」「お祭りで特大の花火を上げた洋菓子屋さん」といった話題が地元に広がって売上げが伸びることがありますが、ソーシャルメディアには話題が溢れているので、上位のコミュニティに話題が広がるのはなかなか難しいです。そこで利用したいのが、YouTubeUSTREAMなどの動画サイトです。

 YouTubeはビデオオンデマンド、USTREAMは生放送のような違いがありますが、どちらも動画を見てコメントを書ける点では同じです。商品そのものではなく、バーチャル工場見学や店長の趣味を活かした企画商品作りの様子など、ソーシャルメディアで話題を作るための映像コンテンツを制作して公開し、まずはネット上の「地元」であるTwitterコミュニティで報告し、口コミの着火点にするわけです。

 ただし、動画のインパクトだけで話題になっても意味がありません。商品を売ることが最終目的なので、必ずネットショップ側にもランディングページを用意します。このとき、はてなブックマークのようなソーシャルブックマークへの登録を促すとよいでしょう。はてなブックマークにははてなブックマークのコミュニティがあり、ユーザー同士のコメントによる議論が起きれば、ソーシャルメディア上で商品の存在を示せます。

ネットショップにおけるTwitterの活用モデル。USTREAM、YouTube、はてなブックマークなどの他のツールと組み合わせてランディングページへ導く

 こうして見ると、Twitterはソーシャルメディアのツールではあるけれど、それだけで完結するわけでないことがわかります。自社の業界、店長のキャラクターなど、あらゆるものを動員して、売上げアップを目指しましょう。

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