ハイエンド端末の「Droid X」のみならず
多彩なラインアップで多種展開を進める
そして6月末、MotorolaはDroidの後継機となる「Droid X」を発表した。iPhone 4発売前日に開催された発表イベントでは、MotorolaとVerizonの幹部、それにGoogleのCEO、Eric Schmidt氏やAdobe の代表者までが加わり、Droid Xをプッシュした。
4社の狙いはもちろん、Apple/AT&T組への対抗だ。特にGoogleは1月、当時最新のAndroid OS 2.1をいち早く搭載したNexus Oneを発表したことでAndroidメーカーとの関係が危ぶまれたが、Nexus Oneは失敗、市場撤退を表明しており、Nexus Twoの計画もなし、としている。Apple対抗にあたって、端末メーカー(とキャリア)に頼るしかないのだ。
Droid Xの特徴は、854×480ドットの解像度を持つ4.3型の大画面だろう。HD動画(720p)も撮影可能な8メガピクセルカメラも搭載する。Android OS 2.1をベースとし(8月に2.2へアップデート予定)、1GHzで動作するプロセッサーを搭載した。アメリカでは7月15日に発売されており、すでに売り切れや品薄という情報もあるようだ。Appleが「これまでで最も成功した」としているiPhone 4との対決がどのようになるのか、注目される。
DroidやDroid Xはハイエンドとなるが、Motorolaはこれ以外にも多彩なAndroid端末をそろえようとしている。画面とキーボードを背中合わせに折りたためる「Backflip」、QWERTYキーボードを搭載した横広のストレートタイプの「Charm」、標準的なスライド式「Devour」、斜めに開くようにスライドする正方形型の「Flipout」など、遊び心のある独自のデザインでアピールしている。
Androidはもはや“スマートフォン界のWindows”となりつつあり、HTCはもちろん、Sony EricssonやSamsungも本腰を入れている。MotorolaはAndroid戦略を進めるにあたり、ユニークなデザインとVerizonとの強力な関係のほか、独自開発UIの「Motoblur」もキーワードとする。メッセージやツイートなどソーシャルネットワークを効率よく利用/管理できるもので、数あるAndroid端末の中で差別化をはかる狙いだ。
Motorolaは分社化も決定しており、これまでの量産ベンダーからハイエンドにフォーカスしたスマートフォンベンダーへのシフトを目指している。スマートフォンブームの震源地であるアメリカで強いことは大きな後押しとなりそうだが、Androidを主軸とした戦略でどこまで挽回できるのかに注目したい。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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