世界遺産の中心で「ニコニコ動画」と叫ぶ
取材をしたのはビクトリアフォールズ周辺。ビクトリアフォールズというのは、世界三大瀑布(滝)の1つだ。ユネスコの世界遺産に登録されている。スペックは幅1708メートル、落差108メートルと、とにかく巨大だ。
とくに水量の多い4月~6月、滝は決壊したかのような勢いを見せる。もうもうと立ち上がる水しぶきには二重の虹がくっきりと浮かびあがり、その光景は3Dゲームか、映画「アバター」でも見ているかのようだ。
そのビクトリアフォールズは、100メートルを超えるバンジージャンプを体験できることでも知られている。滝をまたぎ、ジンバブエとザンビアを結ぶ橋のど真ん中から滝壺に向かって飛び降りるのだ。
「あそこで『ニコニコ動画~!』って飛び降りたら、いい宣伝になるよね」
そう言って、筆者を見るひろゆき。……こっち見んな。
ということでなぜか筆者がバンジーに挑戦することとなった。値段は100ドルだ。体重測定をし、免責事項にサインをすると、体中に安全帯が巻かれていく。
スタッフに「いままで死んだ人はいるの?」「ぶらさがったあとどうやって戻るの?」と質問を投げても「ノープロブレム」とにこやかな答えが返ってくるばかり。ひろゆきとひげおやじは楽しそうにカメラの準備をし、いたって他人風情……。
最初は元気だった筆者だが、いざ飛び降り台に近寄ると、足が震えてきた。眼下には滝壺から流れ込む濁流が渦巻き、遠く地平線まで緑が覆っている。こ、ここを飛び降りるのか。全身が拒絶し、比喩ではなく歯の奥がカタカタしてくるものの、バンジースタッフはテキパキと飛び降り台へと押し出してくれる。
「そろそろいくよ。遠くの木をみて、両手を水平に広げて飛び降りるんだよ」
英語でレクチャーされると、もう逃げ場はない。両足はがっちりと固定されて、一切動けないのだ。「5、4、3、2、1……」とカウントダウンが進んだところで、どんっ、と背中を押され、飛び降りる。
「……ニコニコ、動画ーッ!!!!」
落下中は恐怖のあまり悲鳴しかでてこない。それでも一度落ちきって上昇し始めると少しは落ち着いてきて、景色がたのしめた。虹が目前に見える光景は、「スーパーマリオギャラクシー」で見たままの風景だった。
だが、もう一度やりたいか、と聞かれたら、しばらくバンジージャンプの夢にうなされたと答えておこう……。