AMDチップセットの歴史 その4
ServerWorksやNVIDIAに支えられたOpteronの初期
2010年03月29日 12時00分更新
AMDの最新サーバー向け SR5600シリーズは
2011年も継続使用
ServerWorks/NVIDIA共に、Opteronのシェアがマーケットで次第に大きくなっていったことで、サーバー向けチップセットのビジネスは悪いものではなかったようだ。しかしそうした関係も、AMDによるATI Technologiesの買収でひっくり返ってしまったことは言うまでもない。結果、両社ともSocket G34/C32向けのチップセットは一切予定しておらず、代わりにAMDが自身でチップセットの提供を開始することになった。
その第1弾にあたるのが、2009年9月に発表された「SR5600」シリーズと、それに組み合わせる「SP5100」というラインナップである。現時点ではまだ、対応すべき「Opteron 6000」「Opteron 4000」シリーズが発表されていないので、SR5600シリーズの対応CPUはEmbedded Opteron/Embedded Athlon(AM2/ABS1)/Embedded Turion/Embedded Sempronとなっている。このチップセットで近々登場するSocket G34/C32をサポートすることを、すでにAMD自身が明らかにしている。
このSR5600シリーズ、現在はSR5650/5670/5690の3製品がラインナップされている。いずれもPCI Expressブリッジであり、PCI Express Gen2を22レーン(5650)/30レーン(5670)/42レーン(5690)持ち、SP5100とインターコネクトバスの「A-Link Express II」で接続するという構造である(図6)。
この3製品、機能的にはレーン数が異なるだけだが、あえて3製品を用意したのは消費電力も異なるためである。特に組み込み用途などでは、消費電力の大きいチップセットは嫌われる。そこで複数の製品を用意してユーザーニーズに合わせた、ということのようだ。nForce Professional同様、SR5600シリーズを複数接続することで、PCI Expressレーンの数を増やすことも可能となっている。
ちなみにこのSR56x0、かつては「AMD 790S」という型番で知られていたもので、要するに「AMD 790FX」(RD790)と同じ世代の製品である。サウスブリッジのSP5100は、SB710のサーバー向け転用という扱いであり、I/O空間仮想化機能「AMD-Vi」が特徴として挙げられているものの、それ以外の機能はSB710とほぼ同一である。
さてこれに続くチップセットだが、少なくとも2011年中は動きがないだろう。Bulldozerコアベースの「Interlagos」(Opteron 6000シリーズの後継)や「Valencia」(Opteron 4000シリーズの後継)に関しては、同じSR56x0/SP5100の組み合わせで動作することが明らかにされており、チップセットを更新する理由に乏しいからだ。チップセットに変更があるのは早くて2012年になるだろう。
今回のまとめ
・CPUソケットの更新がないため、今後1年ほどAMDチップセットの大きなアップデートはなさそうだ。AMD 890FX/890GXをベースにした、低価格の派生型程度に止まると思われる。
・Opteronの登場初期を支えたのは、ServerWorksのチップセットであった。2004年10月に登場した最初の「HT-1000」は見るべきところがないが、翌年8月に本命の「HT-2000」が登場してサーバーに必要な機能が揃った。
・NVIDIAも2005~2006年にサーバー向けチップセットを提供していた。nForce Professional 2000シリーズはI/Oチップを増設することで、インターフェース類を拡張できるスケーラビリティーを備えていた。
・現在のOpteron向けチップセットは、AMD自身の製品に限定されている。2009年9月に登場した「SR5600」シリーズは、2011年いっぱいも使われる見込みである。
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