「清き一票を」「出馬します」は究極のNGワード!?
――海外でのネット利用の現状をお聞かせください。クリティカルな事例や、解禁された際にご自分でも導入したい事例などがあれば。
藤末議員 個人的には選挙期間中にTwitterでリアルタイムに情報発信していきたいと思いますね。前述したアメリカや韓国では選挙期間と政治活動との間に明確な線引きがないんです。特にアメリカは完全に一緒です。ところが日本では選挙期間以外では「一票入れてください」と言ってはいけないんですよ。
――立候補予定者は選挙期間にならないと「出馬します」とすら言えないとも聞きます。これまで気にもしていませんでしたが、実は被選挙権を持つ日本人って選挙期間以外は「出馬します」と口にだすこと自体、法律違反になりかねない……?
藤末議員 国際的に見ると、日本の選挙制度は珍しい。だからみなさん、政治活動と選挙活動の違いがわからないと思うんですよ。政治活動とは議員である私たちが普段行なっている活動を指します。そしてこの政治活動中には「私に一票入れてください」とは絶対に言えません。一方、選挙活動とは、参院選ならば選挙期間中の計17日間の活動を指します。ポスターが貼られたり、選挙カーが走り回る時期ですね。この間だけ「私に一票入れてください」という発言が許されるんです。
そして選挙期間中は配れるパンフレットの数、貼れるポスターの数、送れるハガキの数などは全部制限されています。それら配布物すべてに選管のシールを貼らないとアウト。当然ネットはダメですよ、と。そういうワケのわからん話になっているんですよ。
――では、なぜ日本だけ政治活動と選挙活動とがガッツリ分かれているのでしょうか?
藤末議員 これは現在の公職選挙法自体が金権政治の打破を目指して作られたものだからなんです。選挙期間を長くしてしまうと無尽蔵にお金を使ってしまうから区切りを作りましょう、そしてパンフレットなどの枚数にも上限を作らないと(資金や人脈がない)新人が勝てないよね、ということでメディアやチャネルにも制限を設けたのです。これは正しいことだと思います。
しかしながら、それをインターネットにまで適用するのはどうなのか? というところが論点です。というのも、この公職選挙法が作られたのは1950年。インターネットも携帯電話も存在していなかったのですね。
――なるほど。そもそもインターネットの存在自体が法律の想定外なのですね。では公職選挙法のどの部分がネット利用を阻んでいるのでしょうか?
藤末議員 これはインターネットが公職選挙法の第142条で定められている「文書図画の頒布」にあたるとみなされているからです。
――ええと、第142条によれば「……選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書並びに第一号から第三号まで及び第五号から第七号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない」とありますね。要はネット利用禁止が謳われているわけではなく、インターネットでの情報公開や電子メールのやり取りが「文書図画の頒布」だと解釈され続けているのですね。
藤末議員 はい。Twitterはもちろんのこと、ブログの更新やメールマガジンの配信、そしてYouTubeへの動画投稿、さらにはニコ生やUSTREAM.TVなどでの動画配信もNGです。