2月26日に発売されたキヤノンの「EOS Kiss X4」。大手量販店では「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」付属のレンズキットが10万円前後で、売れに売れているというほどではないものの、人気があり、更に値段も早々にこなれてきていてお買い得度が上がっている。
前の記事で使用感に関してはお伝えしたが、前機種である「EOS Kiss X3」(上記X4と同じレンズが付属するキットの実売価格は7万5000円前後)から基本性能はあまり変わらず高画素化が進み、細部のブラッシュアップが行なわれている。今回は撮影画像のチェックを行なってみた。
「ピクチャースタイル」
まずはキヤノンの絵作りの基本と言える「ピクチャースタイル」から。撮影シーンに合わせて適切な効果が得られるようにシャープネス、コントラスト、色の濃さ、色合いがそれぞれプリセットされている。
「ピクチャースタイル」撮影サンプル
スタンダードを基準に見比べると、ポートレートは赤系、特にピンク系の発色が鮮やかになる。人物を撮る用なのでこのような被写体で全てが把握できるわけではないが、肌の色が綺麗に出るような傾向になるのだろう。
風景は色のコントラストが高めになり全体的に色の鮮やかさが増している。ニュートラルは発色傾向はスタンダートに近いが色の派手さが抑えられている。忠実設定は更に発色がおとなしめな感じだ。
キヤノンユーザーなら見慣れた項目だが、スタンダードとニュートラル、忠実設定の3つはどれも同じような意味に感じる人もいるだろう。スタンダードはキヤノンが考える絵作りの方向性を示すメインの絵作りで、撮ってレタッチなしでそのまま使える基準になる色。
ニュートラルも同じような方向性だが、撮ってそのまま終わりではなく、レタッチ用の素材としての考え方を残している絵作りになっている。忠実設定はカメラ内で色を作らず、被写体に忠実な色を残すための設定だ。
更に説明しておくと、ピクチャースタイルが搭載される以前のキヤノンのデジカメではプロ向けとアマチュア向けのデジカメで発色が微妙に異なっていた。プロ向けは被写体に忠実な方向性で発色が浅めな印象。一方、アマチュア向けは派手めな傾向で一見して色が綺麗に乗ってくる印象だった。
メーカーとしては機種毎に発色傾向が変わることに疑問があったのだろうか、ピクチャースタイルを搭載し、機種で発色傾向に変化が出ないようにしたわけだ。ちなみに昔のプロ向けの機種の絵作りがピクチャースタイルで言う所のニュートラルで、アマチュア向け機種の絵作りが現在のスタンダードにほぼ当てはまっている。
古めの上位機種を使っていて最近新型に切り替えて発色具合が前と違うと思う人はピクチャースタイルの設定を変えてみるといい。