重さ、はり幅、針方向 「普通じゃない」のがいい
そんなZenith 548 GOLDは、あらゆる点で日本のホッチキスと異なる。
まず重量だ。総スチール製という本体は実測248gで、ほとんどが150g以下という日本製の一般的なホッチキスとは比べものにならないくらいに重い。昨今、小型のホッチキスを持ち歩いているビジネスマンもたまに見かけるが、Zenith 548 GOLDはそんな気持ちを容易に起こさせないヘビメタなリアリティーが潔くて素晴らしい。
日本のホッチキスよりはるかに小さな「はり」(「たま」と呼ぶ人もいるが)を使っているのも特徴だ。国産のホッチキスでは幅9mmが一般的だが、Zenith 548 GOLDはそれより2mmほど狭い7mmのものを使う。
国産ホッチキスの多くは、本体上面を大きく開いてはりを入れ替えるのに対して、Zenith 548 GOLDは、古代の大砲のように背後から手動ロックを外し、スプリング付きの長い金属ロッドを引き抜いて、トンネルの様な長いはり道にはりを押し込む。
幅の狭いはりは、とじるものの表面で場所をあまりとらないため、例えば、小さな写真やカラーサンプル、生地サンプルなどを台紙に留めるには最適だ。
さらに、はりの折り方まで選べる。一般的な「内曲げ」だけではなく、はり受けの台座位置を前後に少しずらすことで「外曲げ」に素早く対応することが可能だ。これで小さな紙片や生地などを台紙に留める際、簡単に台紙からちぎれないようにできる。
重さだけではなく、操作もヘビーなため、エレガントで指先のしなやかな大和撫子には向かないかもしれない。
とはいえ、大雑把な中に垣間見える、道具としての完成度の高さ、確実性、グリップ感覚などに惹かれるという男性は多いはず。握力を鍛えるのにもピッタリで、ゴルファーやギタリストの日常訓練に使えるかもしれない。
今回の衝動買い
アイテム:イタリア・バルマ「Zenith 548 GOLD」
価格:9450円(分度器ドットコムにて購入)
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
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