Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第8回
ライフボート「LB パーティションワークス13」
Windows 7発売に間に合ったパーティションソフトの真実
2010年02月23日 08時00分更新
今回は、Windows 7対応のディスク管理ツール「LB パーティションワークス」、「LB コピーワークス」などで知られるライフボートを取材した。現在はメガソフトの子会社であり、同社の開発した製品をメガソフトの流通経路を通じて販売するという形態を取っている。
話を聞いたのは、ライフボートの第1製品企画部副部長の芳本俊介氏と、広報室広報担当の阿子島 力氏である(以下敬称略)。
―― Windows 7に対応したのはどの製品でしょうか?
阿子島 当社は、ユーティリティーやセキュリティー関係のソフトウェアを扱っています。海外製品で我々がいいと評価したものを日本向けに改良して提供するというのが基本姿勢です。具体的な製品としては、「LB パーティションワークス 13」、「LB コピーワークス 11」、「LB ブートマネージャ」の3本がWindows 7対応となります。ブートマネージャ以外は、クライアント版のほかServer版もラインナップしており、これらのServer版についてはWindows Server 2008にも対応しています。
リーマンショック以来、世間ではあまり景気が良くないのですが、Windows 7が発売されたことで業界の盛り上がりが期待できて、我々としても「なんとかWindows 7の発売日までに製品の対応を間に合わせること」を計画しました。
当社では、パーティション管理系のHDDユーティリティーソフトウェアが一番の売れ筋であり、まずこれを間に合わせようということになりました。このソフトは、ドイツのパラゴンソフトウェアが開発元なのですが、海外で販売されているものとは違って、日本向けに仕様を変えており、製品名も変更して販売しています。開発元とやりとりしながら開発を進めていくのですが、日本市場は特に品質に厳しいため、入念なテストをくり返して、修正を行ないました。
そのかいもあってWindows 7の発売日に間に合い、発売日(2009年10月22日)の週は、パーティション系ユーティリティーソフトで当社製品がシェア6割を占めました。
システムコマンダーは開発中止
マルチブートは「LB ブートマネージャー」にバトンタッチ!
―― 御社の製品では、パーティション操作以外にマルチOS環境を作るブートセレクター「LB システムコマンダー」が有名です。新しいOSの登場時にはこうしたソフトにも需要があると思うのですが、Windows 7には対応されなかったのでしょうか?
阿子島 LB システムコマンダーも海外のソフトウェアハウスの製品を移植したものですが、そのメーカーがシステムコマンダーの開発を中止してしまい、Windows 7には対応しないことを連絡してきました。日本市場で求められていることは分かっていたので我々も重ねてお願いしたのですが、結局はダメでした。
ただ、同じ会社でマルチブート環境を作る製品「ブートマネージャ」があったので、これをLB パーティションワークスに統合しました。実情を考えると、Windows 7を早く使ってみたいけれども、従来使ってきたWindows XPやVista環境も残しておきたい、使い続けたいというユーザーは少なくないと考えていました。現実的に、すぐに全面乗り換えするのは不安だと考える人は多いですから。
ブートマネージャとパーティションワークスを使えば、従来のWindows XPなどが動いているPC環境の空き領域に、新たなパーティションを作り、Windows 7を新規インストール。元の環境を残しながら、Windows 7と従来環境をデュアルブートで試すことができます。
実際に店頭でも、こうした事情でWindows 7の購入をためらうお客さまもいるでしょう。そこで我々は販売店に対して、「当社の製品を使うことで、従来の環境を残しながらWindows 7をインストールできること」を説明し、このソフトウェアとWindows 7を一緒にお勧めすることで、購入をためらうユーザーの背中を押すことができると訴えて、なるべく多くの販売店に扱ってもらいました。
ですが実際の反響を見ると、従来のPC環境にWindows 7をインストールするというユーザーだけではありませんでした。新しくWindows 7プレインストールPCを買ったけれど、HDDがCドライブとDドライブに最初からパーティション分けされていて、それぞれの容量を今までと同じように変更したいという方もいらっしゃいました。メーカーによって、Cドライブを大きくする、Cドライブは最小限でDドライブを増やすなどポリシーはずいぶん違いますから。
Windows 7出荷のようなタイミングでは、こうした理由でも、パーティション操作関連のソフトウェアが注目されるのです。
―― もう一方の製品である「LB コピーワークス」はどんなソフトウェアなのでしょうか?
阿子島 LB コピーワークスは、HDDなどを換装するときに利用するHDD複製ソフトウェアです。これを使うことで、現在動いている環境をそのまま新しいHDDに移植できます。もちろん、HDDの容量が違っていても、コピー先に合わせてパーティションを拡大できます。また、システムのバックアップも可能です。
こうしたディスクユーティリティーソフトは、年末が一番売れる時期なのです。おそらく会社勤めの方が年末の長期休暇を使ってHDD交換するということではないかと思います。また、個人ユーザーでも自作PCや高速・大容量HDDへの付け替えといった“熱”が高まるのではないでしょうか。
―― 今回のバージョンで新機能も搭載したのですね?
阿子島 LB パーティションワークスには従来からバックアップ機能を搭載しています。HDDの換装やパーティション操作などには、やはりある程度のリスクが伴うもので、いざというとき元に戻せるほうが安心です。最新バージョンでは、このバックアップ先にCDやDVD、Blu-rayをサポートしています。また、LB コピーワークス 11では、SSDにも対応しました。このほか、Windows 7対応、64bit版Windows対応などが挙げられます。
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