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オンサイトサポートが加わったdesknet's

desknet'sとテクネットは、日本のITを底上げするか?

2010年02月18日 06時00分更新

文● TECH.ASCII.jp

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変わった会社テクネット
「倒産の危機に見舞われたことも」

須田騎一朗氏

須田騎一朗氏

 テクネットは、千代田区5番町、イギリス大使館にほど近い場所に居を構える従業員数50名の企業だ。同社代表取締役社長の須田騎一朗氏は、以前にもサポート専門企業を立ち上げるなど(その企業は現在年間100億円を売り上げているという)、サポート一本で仕事をしてきた人物。テクネットは、そんな須田氏が中小企業向けにマルチベンダー対応のサポートをしたいと思って2005年に立ち上げた。

 中小企業向けという指向や、スキルが必要になってくるマルチベンダー対応という業態によって、何度か経営危機に瀕したが、今はそれも過去の話。現在は取引先の総数160社、定常利用60社にのぼっており、さらに今回ネオジャパンとの協業も始まったというわけだ。

 テクネットの使命は、情報システム部門の社員が担当すべき、すべての業務を代行すること。テクネットが顧客の中心に据えるのは、従業員数50~500名程度で、情報システム専属社員数が0~10名程度の中堅・中小企業だ。こうした企業では、情報システム技術者を適切に雇用してマネジメントすることがえてして難しい。だが、世の中ITがないと仕事ができない状況になってしまっている。その隙間を埋めるのが、テクネットというわけだ。

企業規模とシステム部門の人数(左)を見れば、現在の国内IT事情があまりいい状況ではないことが分かる。テクネットは、そうした“隙間”を埋めるべく活動する(右)

テクネットの行なうサービス概念図

テクネットの行なうサービス概念図

 テクネットは顧客企業の側に立つというよりも、その内側に入り込んで、IT部門の社員と同じことをする。だから、基本的にサポートはオンサイトで行なう。そして、IT部門の社員の代わりという立場から、逆に対応しない業務も存在する。たとえばハードウェア/ソフトウェアの販売や、業務システムの本格的な開発、ホームページの本格的な制作などだ。こうした業務の場合は、適切な外注先をセレクトして紹介するのだという。確かに、ここで切り分けないと、企業内のIT部門ではなく、単なる受注業者と同じようになってしまうということだろう。

テクネットのサービスモデル

テクネットのサービスモデル。専属のIT要員を置けなかったり、置けても少数だったりする企業が、自社のIT要員のようにテクネットを共有して使うというイメージだ。テクネットのスタッフは、顧客企業からの定型業務を受注するのではなく、自発的にIT要員として立ち働く

 こうしたテクネットの業態は、場合によっては企業がIT部門を設置するよりもいい場合がある。たとえば人的依存リスクを下げられる。テクネットでは、実務担当者は基本的に固定するものの、スタッフをローテーションで回していくために、「○○さんが会社を辞めたらシステムのことが分からなくなる」といった事態は回避できる。さらに営業上の窓口として別の担当者を立てることで、長期/短期の課題を共有していくという。さらにセキュリティに関しては、顧客企業内で作業をするために情報を持ち出さずに済むほか、ISMS、ISO27001を取得しているという。

 スタッフの技量については、ITスキル標準やUISSを参考として独自にレベル分けをしており、単純な操作から、高度な部門統括や統制までスタッフをそろえている。

 テクネットのサービスは、大仰にいえば日本のためにもなることだろう。しかし意義のあることだとは言っても、中小企業が情報システムにコストをかけるのは大変だ。事実、テクネットでは中堅中小企業からのお金のもらい方が難しかったのだという。そこで現在はポイント制サービスシステムを採用している。顧客企業はテクネットにサービス料金を前払いし、「ポイント」として取得する。エンジニアが何らかの働きをするとポイントが消費されていき、余ったポイントは翌月に繰り越されるというわけだ。こうすれば、テクネット側は継続性をもってサービスを行なっていくことができる。

 desknet'sオンサイトサポートサービスでは、たとえばバックアップ作業であればレベル1のスタッフが基本作業時間1時間でこなし、20ポイントが消費される……といった具合だ。1ポイントは、ほぼ1000円換算とのことだから、この場合は2万円を支払うということになる。

テクネットのサービス種別/価格体系(左)と、desknet'sオンサイトサポートメニュー

 desknet'sオンサイトサポートメニューの料金体系は、従来のテクネットの料金との違いはない。ここで注目したいのは、顧客企業側は、desknet'sのサポートは当然ながら、テクネットにお願いするとなるとほかの案件も相談したくなるであろうということ。須田氏によれば、desknet's以外の案件が来た場合は、シームレスに対応していくということだ。冒頭大神田氏の話にもあったとおり、そもそもネオジャパンの範囲外の質問が多くなってきたので、テクネットとの協業が行なわれたという経緯がある。また、サポートメニューの中には、「利用の活性化」といった項目もあり、「ITをどうやって生かしていくか?」といった根本的な問題への取り組みも垣間見える。このサービス自体、desknet'sのサポートが充実した……と捉えるよりは、desknet'sをきっかけにして、中堅中小企業のIT利活用を一層促進するための協業だと捉えるべきだといえる。

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