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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第37回

Intelチップセットの歴史 その7

Core 2世代の965から次世代ノートチップセットまで

2010年02月01日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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Intel 5x~6x世代のモバイル向けチップセットロードマップ

Intel 5x~6x世代のモバイル向けチップセットロードマップ

Nehalem世代のチップセットはMCHからPCHに

 2009年9月にはいよいよ、Nehalem世代CPUに対応する「Intel PM55」が登場する。時期的にはデスクトップ向けのP55と同時であり、構成的にもほぼ同一である。この世代からモバイル向けも1チップというか、実態は「ICH11」相当とでも言うべきものになっているのはデスクトップ向けと同じだ。

ノート向けCore i7とPM55

インテル社の上級副社長ムーリー・エデン氏が掲げるのが、ノート向けCore i7とPM55

 ただ対応するCPUは? と言うと、当初リリースされたのは「Core i7-820QM」と「Core i7-720QM」(いずれもTDP 45W)、「Core i7-920XM Extreme Edition」(TDP 55W)の3製品のみ。これではウルトラハイエンドというか、「Desktop Replacement Note」に近い大型ノートでしか利用できなかったし、GPUは非統合だから外部にGPUが必要になる。このスペックのCPUを使うような製品だと、GPUにもそれなりの性能が求められることが多いので、これはこれで筋が通っているとは言えるが、そんなわけで採用されたケースはごくまれである。

 本命となるのは、2010年1月に発表されたArrandaleベースのCPUと、これに対応した「Intel HM55/HM57」、「Intel QM57/QS57」といった製品になる。こちらはDMIに加えてFDIもサポートした構成で、これが5シリーズ世代の本命構成である。実際、各社からこれらを搭載した製品が登場しつつある。

Arrandale対応のチップセット

Arrandale対応のチップセットは「PCH」と呼ばれる

 さて、その5シリーズであるが、これがまた不思議とラインナップが多い。大雑把に言えば、HM5xがパーソナル、QM/QS5xがビジネス向けということになっており、PM55はどっちつかず(強いて言えばパーソナル向け)といった扱いである。以下の表はこれをまとめてみたものだ。

  PM55 HM57 HM55 QM57 QS57
PCIeポート数 8 6 8
USBポート数 14 12 14
SATAポート数 6 4 6
FDI対応 No Yes
RAID対応 Yes No Yes
ME Ignition
FW only
Yes No
AT No Yes
Intel AMT 6.0 No Yes
Remote PC Assist Technology No Consumer No Business

 まずパーソナルとビジネスの違いは以下のようになる。

  • Remote Assist Technologyの違い
  • Intel AMT(Active Management Technology)の有無

 パーソナルについては、HM55はHM57のローコスト版という扱いで、PCIeレーンやUSB/SATAポートが減っていたり、RAIDが組めないという形で差別化されているが、ビジネス向けのQM57とQS57の場合は、表を見る限り違いがない。QS57はクアッドコアのCore i7に対応しない、ファームウェア(BIOS)パッケージの違いといった微妙な差があり、ここでわずかに差別化がされている。ただし、価格から言うとQM57が48ドル(1000個あたりの価格)なのに対して、QS57が53ドルと、むしろQS57の方が高価である。


 最後に今後のロードマップについても言及しておこう。登場時期は恐らく2011年になると思うが、新CPU「SandyBridge」に対応した新しいチップセットが、モバイル向けにも投入されると見られる。コード名は「CougerPoint-M」になるようで、これまでの例どおりなら、FDI未対応のものが「PM65」、FDIに対応したパーソナル向けが「HM65」、FDIに対応したビジネス向けが「QM65」となるだろう。

 機能的には、CPUとの接続がPCIe Gen2相当の「DMI 2.0」で高速化されるほか、USB 3.0やSATA/600のコントローラーを搭載すると見られる。もっともUSB 3.0に関しては、「その後延期になった」という話も一部に出ている。ただその場合には(NECを初めとする)別チップのコントローラーを別途必要とすることになるが、まだそちらには大きな動きは出ていないようだ。単に動きが遅いのか、あるいはもう少しインテルの様子を見ているのか、あるいは情報がガセなのか、現時点では判断できない。

 ただ、いくらなんでも2011年のノートがUSB 3.0に対応しないということはないと思われるので、もう少しすればこのあたりの動向ははっきりするだろう。

今回のまとめ

・Core 2 Duo世代向けのチップセット「Intel 965GM/PM」が2007年5月に登場する。TDPが前世代より増えたため、ノート側の熱設計は苦労したようだ。

・翌2008年7月には、現在も使われている「Intel GM45/PM45」世代が投入される。FSBやメモリー、内蔵GPUのクロックを変えた低消費電力版も登場するなど、バリエーションも多い。

・2009年9月に、最初のNehalem対応チップセット「Intel PM55」が登場。続く2010年1月には、「Intel HM55/57」など多数が登場した。GPUやメモリーコントローラー、PCIe x16がCPUに内蔵されたことで、ラインナップは多いが機能は減り、コンシューマー向けかビジネス向けか、あるいはUSBやSATAポート数で差別化されている。

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