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Q&Aで理解する情報セキュリティ ― 第5回

通話を二重に守る技術を知ろう

携帯電話は盗聴される可能性がある?

2010年01月27日 09時00分更新

文● 遠藤哲

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Q. 携帯電話は盗聴される可能性はあるの?

A. すべてではありませんが、携帯電話の通信技術によっては盗聴の可能性が指摘されています。しかし、実際に盗聴の被害にあったという報道はありません。

GSM方式携帯電話の盗聴が可能?

 2009年の年末にドイツのコンピュータ技師のチームがGSM(Global System for Mobile Communications)方式携帯電話で使われている暗号を解読する方法についての論文を発表したことから、「GSM携帯電話の盗聴が可能」というニュースが世界中を駆け巡った。

 GSM方式携帯電話は日本と韓国を除いたほとんどの国で使われている携帯電話であり、第2世代携帯電話の世界標準である。世界の携帯端末市場の80%以上がGSM方式といわれているというだけに衝撃的なニュースとなっている。

 このことについてGSMを運用する通信事業者の業界団体「GSMA(GSM Association)」では、実際の通話を盗聴しようとした場合の難しさを過小評価しており、実際に解読される脅威にはあたらないと主張している。

 両者の主張が対立しているようにみえるが、実はどちらの主張も正しい

 図1にGSM方式における携帯電話と基地局間の通信のイメージを示す。

図1 GSMの通信方式

 この図を見てもらうとわかるように、GSMではTDMA(時分割多元接続)という通信方式を使って携帯電話(端末)と基地局間で通信が行なわれる。この通信が成立するためにはTDMAフレームの先頭を認識し、正確なタイミングで情報を取り出さなければならない。

 少しでもタイミングがずれると、隣り合ったユーザーの情報が混信した状態となり、正しく復元できない。GSMAが実際の通話を盗聴する難しさをアピールしているのは、この点である。

 一方、何らかの手段で暗号化された通信データを入手できたとすると、GSMの暗号は解読できるため、通話内容を盗聴できてしまう。これが、暗号の解読に成功したチームの主張だ。どちらの主張も正しいわけである。

 実は、GSMの暗号を解読できたという報告は、これまでもいくつか上がっている。そして、今回の論文も、検証が終わったわけではない(実際は解読できない可能性もある)。とはいえ、実際に暗号を解読できたとしても、TDMAを復元するための設備的な要素を考えると差し迫った脅威とはならないように思う。

(次ページ、「日本の携帯電話は安全か?」に続く)


 

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