本連載でも何度か述べているように、Windows 7では新しいグラフィックAPI「Direct2D」「DirectWrite」により、画面表示が高速になり、なおかつ文字が綺麗に表示できるようになった。
WindowsはWindows Vistaで、DirectXを画面表示に使うアーキテクチャーに変更された。しかし、テキスト表示や2D図形、線を表示するには、新しく導入されたグラフィックスサブシステム「WPF」(Windows Presentation Foundation)を、アプリケーションが直接扱う必要があった。
WPFは高度な機能を有していたものの、単にテキストや2Dグラフィックを表示するだけに使うには、いささかプログラミングが難しかった。そのためVistaになっても多くのアプリケーションが、昔からあるAPI「GDI」「GDI+」をそのまま利用していた(Windows XPとの互換性という面からも、WPFで全面的に書き換えるわけにはいかなかった)。
Windows 7ではVistaでの反省を活かして、テキスト表示専用のDirectWrite、2Dグラフィック専用のDirect2DというAPIが用意された。
DirectWrite
DirectWriteとDirect2Dは、DirectXを通じてGPUの機能を利用する仕組みになっている。そのため、GDIを使用するよりも、場合によっては数倍高速に画面表示が行なえるという。さらに、一部をGPUで処理するため、CPUの負荷が軽くなるといったメリットもある。
例えばDirectWriteでは、液晶ディスプレーで見やすいようにフォントをスムージング処理する「ClearType」機能をGPU側で処理することで、CPUに負荷がかからないようにしている。また、表示デバイスの解像度に依存しない、自由なレイアウトも実現できる。もちろん、既存のGDIに準じたレイアウトと描画が可能だ。
DirectWriteでは、文字の字詰めや行間の設定もコントロールできる。この機能を使えば、欧文送り(アルファベットは文字を詰めて、綺麗に表示する)、漢字やひらがななども、見やすく表示することが可能だ。さらに、文字に色をつけるグラデーション機能で、GPUを使って色をつけられる。
この連載の記事
-
第50回
PC
次期IE「Internet Explorer 10」プレビュー版が公開 -
第49回
PC
RTM版も登場 Windows Home Server 2011の変更点とは -
第48回
PC
5秒で起動するSplashtop OSを自作パソコンで試す -
第47回
PC
ベンチで検証 Internet Explorer 9 RCの互換性と性能 -
第46回
PC
正式版の直前となるInternet Explorer 9 RC版が登場 -
第45回
PC
Silverlightをさらに進化させる「Silverlight 5」 -
第44回
PC
「Windows on ARM」が持つ意味と課題は何か? -
第43回
PC
GPUを利用できる仮想化ソフト XenClient 実践編 -
第42回
PC
複数のWindowsを使い分ける仮想化ソフト XenClient -
第41回
PC
3秒で起動しWindowsと共存するOS「Splashtop OS」 -
第40回
PC
最新版「PP7」に見るIE9の性能と互換性の高さ - この連載の一覧へ