マイクロソフトが開催した、ソフトウェア開発者向け国際会議「PDC09」での基調講演にて、同社Windows & Windows Live担当副社長のスティーブン・シノフスキー(Steven Sinofsky)氏が、「Internet Explorer 9」(IE9)のデモを披露した。現時点では初期の開発段階にあるため、リリーススケジュールなどは明確にはされていない。今回は連載の特別編として、IE9を含めたPDC09での重要トピックについて解説しよう。
世界で最も高速で使いやすいブラウザーに
IE9最大の目的は、「世界で最も高速で使いやすいブラウザーにすること」(シノフスキー氏)だ。もちろんIE8よりも、インターネット標準にマッチしたものになっている。
デモで使用されたIE9は、開発が本格化して数週間というモジュールだった。そのため、IEのレンダリングエンジン部分だけしか動作していない。IE9では、IE8よりも互換性をアップするとシノフスキー氏は約束している。実際、開発の初期段階ではあるが、互換テストの「Acid3」(ブラウザーのDOMとJavaScriptの互換性テスト)のスコアが、IE8よりも向上している。ただし、IE8では20点だったものが、初期段階のIE9では32点に向上した程度だが。シノフスキー氏は、「初期段階ではまだまだこの程度のスコアーだが、できる限り100点に近づくようにしていきたい」と語っている。
ブラウザーの互換性に関しては、先行するFirefoxやGoogle Chrome、Safariなどと比べると、まだまだという印象はぬぐえない。ただ、IEを完全に標準準拠にしていこうという流れにはなっているようだ。
またIE9では、HTML5に準拠する予定だ。ただHTML5の特徴ともいえる「Canvas」(Flashと同じようなベクターグラフィックス表示機能、関連記事)もサポートしていくのかに関しては、明言されなかった。最近の流れをみれば、先行するブラウザーでサポートされている機能は、IE9でもすべてサポートするということになるのだろう。
IE9はインターネット標準をサポートしつつも、独自の機能を持っている。HTMLやDOM、JavaScriptの互換性は保ちつつ、テキスト表示などにはWindows 7で採用された「Direct Write」や「Direct 2D」などの追加された新機能を利用している(関連動画、要Silverlight)。これにより、IE9でのフォント表示は、非常に綺麗になる。
また、文字の拡大縮小もDirect Xベースの表示によりスムーズになる。Direct 2Dの機能を使い、地図をスムーズにスクロールしたり、拡大できるようになる。もしかすると、HTML5のCanvasなどもDirect2Dを使用して、高速表示ができるようになるかもしれない。
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