いったいなぜ? 180度方針転換!?
マイクロソフトがオープンソースを支援する理由
INSTALL MANIAXを主催するマイクロソフトの吉川氏は、「このコンテストは、マイクロソフトが世界各地でオープンソース活動を支援する取り組みとして、日本独自に行なっている取り組みのひとつ」であるという。
商用ソフトウェア中心に見えるマイクロソフトだが、数年前から自社プラットフォーム上でのオープンソース活動を支援しているという。吉川氏は、このセクションの日本での担当者だ。
「Windowsの急速な普及は、さまざまなフリーソフトやシェアウェアが作られ、使われたことも一因です。こうした環境(エコシステム)をWindows Serverにも作りたい。マイクロソフトもオープンソースと共存すべきという考えで作られた部署が、“プラットフォーム戦略本部”なのです」と吉川氏は語る。
現在マイクロソフトは、サードパーティー製アプリケーションに関して、商用ソフトウェアだけでなく、オープンソースソフトウェアにも重点を置いているという。単にオープンソースプロジェクトを支援するだけでなく、みずからもオープンソース活動に貢献している。たとえば、IIS上でPHPの処理を高速化する「FastCGI Extention」や「SQL Server Driver for PHP」などは、マイクロソフト内のIISチームが開発したものだ。
このSQL Server Driver for PHPは、オープンソースプロジェクトとなっており、ソースコードも公開されている。また、マイクロソフトのオープンソース関連活動を紹介するサイト「Port25」も立ち上げている。ここでは、Hyper-V(仮想環境)の中でLinuxを効率よく動作させるドライバーを開発し、Linuxのドライバーコミュニティーにソースコードをコミットした背景などが掲載されている。
このコンテスト「INSTALL MANIAX」の目的は、「Windowsプラットフォーム上でも、オープンソースソフトウェアが利用できること。そしてWindowsプラットフォームそのものもより深く理解してもらいたい」のだという。参加者の多くは、これまでLinuxなど(LAMP)でWebシステムを構築してきた人が多く、実際にWindowsプラットフォームを利用した人はそれほど多くないという。
また、さまざまなオープンソースコミュニティーと深く付き合っていくのも吉川氏の仕事のひとつ。特に日本では、「顔合わせ」(会合)が重要だという。オープンソースのユーザーには、まだまだマイクロソフトに関していろいろな誤解があるものの、直接顔を合わせることで誤解も解けているという。
昨今はオープンソースと商用ソフトウェアを混在させたケースも増えている。マイクロソフトとしては、オープンソースにとってもWindowsを有力なプラットフォームとするべく、本格的にオープンソースとの共存の道を選んだというわけだ。