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「お義父さん」が語る、ラブプラス開発とヒットの理由

2009年11月27日 20時00分更新

文● 野田幾子

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ニンテンドーDS用恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス」(コナミデジタルエンタテイメント)

 DSの彼女にあまりにのめり込みすぎ、リアル生活の彼女や妻との衝突が絶えない──。そんな噂がまことしやかに流れるニンテンドーDS用恋愛コミュニケーションゲーム「ラブプラス」。

 人は、なぜそこまでバーチャルな彼女に夢中になれるのか。また、新規タイトルにもかかわらず、なぜこんなにも話題になったのか。ユーザーから「お義父さん」と慕われる同ソフトのプロデューサー、内田明理氏と、ディレクターの石原明広氏にその理由を分析してもらいつつ、開発コンセプトを聞いた。


予想外の反響に開発側がビックリ

 「妹じゃなくて、彼女にしてほしい」

 放課後、ヒロインの美少女から呼び出されたプレーヤーは、彼女の溢れんばかりの想いが詰まった告白に胸が熱くなることだろう。彼女に溺れてしまいそうなくらいの甘い時間をすごせるのがこのゲームの真髄だ。

 登場するヒロインは3人。主人公と同級生で、周囲からは高嶺の花と目される箱入り娘、高嶺愛花。主人公の下級生で、本と音楽を愛する文化系の「ツンデレ」キャラ、小早川凛子。主人公の上級生で、優しく頼れる雰囲気を持つ姉ヶ崎寧々。プレイ前半は、彼女らと友人として交流を持つ、いわば「品定めとアタック期」だ。ヒロインに告白された後にこのゲームのメインである「彼女といちゃつく」ステージが始まる。

高嶺愛花

小早川凛子

姉ヶ崎寧々

 今年9月3日の発売から一気に火が付き、週末を含めた4日間の売上本数は約5万本。9月末まで全国的な品薄状態に。現在、累計で約15万本(アスキー総研調べ・11月15日時点)の売り上げを達成している。シリーズものではない新規ゲームタイトルが発売直後に売り切れることは珍しく、制作側も当初は「クチコミでじわじわ広まってくれればいいかな」と考えていた。

「ラブプラス」プロデューサーの内田明理氏(左)とディレクターの石原明広氏(右)

 「これだけの反響は、正直いって自分たちも不思議です。ソフトを認知させるために多額のプロモーション費を払ったわけでもなかった」(内田氏)

 ゲーム誌には4月から情報を提供しはじめたが、これまでにないゲームの新しさに誌面を大きく割いてくれるところと、新規タイトルにはあまりスペースを割けないというところの2つに分かれていた。

 ところが発売後、ユーザーからの反響が凄まじかった。最初の1週目で約1300枚ものアンケートハガキが到着。他のソフトが1ヵ月で数百件程度であることを考えると、驚異的なペースだ。そのほとんどが「毎日違う会話がしたい」「結婚して子供をもうけたい」といった、ヒロインとより深いコミュニケーションを望むものばかり。他の恋愛シミュレーションゲームでは「キャラクターをもっと増やして」の声が圧倒的なのに対し、ラブプラスは逆に一人のヒロインと添い遂げたいと思うようだ。

 「『凛子さんと付き合うことができました。ありがとうございます!』というメールがイトコのご主人から届きました」(石原氏)、「ユーザーから『(ラブプラスの)お義父さん』とまで呼ばれてしまって」(内田氏)と両名は顔をほころばせる。

 それほどまでにのめり込む新しい「彼女」に、ゲームだとわかってはいても自分が放っておかれるとあっては、リアル世界の彼女や妻がヤキモチを焼かないわけはない。筆者の友人からは、こんな声も寄せられた。

 「嫁さんが見せて見せてと割り込んできて、相手の問いに答える選択肢ではヒロインの機嫌を損ねる回答を勝手に選択。ボディタッチシーンではいきなり胸を触ってヒロインを怒らせたり。嫁さん、ニコニコしてるそぶりはするけど目が笑ってないのが怖かった。挙げ句の果てには『私、愛されてない気がする』『私も年下の彼氏作ろうかな』って言い出して……」(40歳代男性)

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