優秀なネットゲーマーが働ける会社を作りたくて
8日、ドワンゴの川上量生会長、ひろゆき氏、ニコニコ動画の運営長を務める中野真氏、ITジャーナリスト・佐々木俊尚氏の4人が、これまでのドワンゴとニコニコ動画の歴史をニコニコ生放送で語った。これは、佐々木氏の著書「ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語」(amazon.co.jp)の発売を記念して行なわれたもので、この本では延べ30人にわたる取材を通じ、謎の多い「ドワンゴ」の全貌を初めて体系的に明かしている。
川上会長はドワンゴを作ったきっかけを「優秀なネットゲーマーが働ける会社を作りたかった」からと話す。そこで集まったメンバーが「廃人軍団」と呼ばれる社員たちだ。中野氏もその「廃人」たちの1人だった。
「当時はテレホの時代で、昼12時より夜12時の方が人が多かった」と中野氏は話す。会社の回線でネットゲームをやっていたこともあり、おかげで月の電話代が100万円を超えたこともあったという。
ドワンゴは本来、そういった「変な人が普通の顔をして働ける会社」を目指していた。新卒採用をしたことで「まともな人が増えすぎた」ため、2ちゃんねるで求人をかけたこともあった。結果、社員のレベルは偏って高くなった。ひろゆき氏は「楽天にいてもおかしくない」社員もいたという。
番組内ではユーザーから「ドワンゴは儲かっているのか」という質問を投げかけられ、川上会長は「全体でトントンくらい」と答えていた。「着メロ部門がかせいだ収入を、ニコニコ動画が溶かしていくと」とひろゆき氏が揶揄する場面もあった。
最も会社としてまずかった「黒歴史」として、携帯ゲーム「サムライロマネスク」開発の話にも触れた。サムライロマネスクは、携帯ゲーム初の大作RPG。「オープニングが終了するまでにパケ代が5000円を超えた。その時点ですでに設計がおかしかった」と川上会長は話す。伊能忠敬の地図を忠実にマッピングしたというゲームの裏側を聞き、ひろゆき氏は「へえー」と感心した様子を見せた後、「すげームダ」とバッサリ切り捨てた。
番組の最後には「今後のニコニコ動画はどうなっていくか」というテーマを語った。ひろゆき氏は「今はまだテレビの焼き直しが多いが、ネットならではの表現があってもいい」と話した。その1つの可能性として、今はニコニコ生放送に期待をしているという。
川上会長は「『いろメロミックス』を出したときに、着うたが出てきて全部ダメになってしまった。ニコ動もそうなる危険性があると思っている」と、不安感が今もなお残っていることを語った。
書籍は、番組の中では触れられなかった、フリーのゲームクリエイター集団「Bio_100%」の歴史をひもとくところから始まる。ドワンゴという会社がここまで作り上げ、連綿と続けてきた文化を知りたい方は手にとってみてはいかがだろう。
