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ニコニコ新機能の発表中、ひろゆき氏書類送検の知らせが

2012年12月21日 13時00分更新

文●Ryo Morita/アスキークラウド編集部

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 とても運命的な瞬間だった。

 20日、「ニコニコ動画」のドワンゴは有料ブログ「ブロマガ」および、同社の言論・報道に対する姿勢についての記者会見を開いていた。会見がはじまって10分ほど経ったころ、Twitterのタイムラインに「2ちゃんねる」元管理人・西村博之(ひろゆき)氏が書類送検されたという報道が流れはじめたのだ。

心配そうな株式会社ドワンゴの川上量生会長。ニットはZOZOTOWNで購入

 警察の発表によれば容疑は麻薬特例法違反幇助、麻薬の購入を促す書き込みを放置したというものだ。ひろゆき氏はドワンゴの関連会社二ワンゴの取締役。ステージに立ったドワンゴの夏野剛取締役はひろゆき氏の件で記者からコメントを求められ、「知らない、初めて聞いた」と憮然とした顔で答えていた。同じくドワンゴの川上量生会長が、心配そうな表情を見せていたのが印象的だった。

 2ちゃんねると麻薬の問題が取り沙汰されはじめたのは昨年頃から。2ちゃんねるを通じて麻薬を4500人に販売、1億円の収益を得ていたとして、犯罪者グループが摘発されたのは昨年12月。今年に入って2ちゃんねる関連会社の家宅捜索なども増え、今回の書類送検に至った。


「書き込んだ人」「書き込ませた人」はどこにいる?

 当日にドワンゴが発表したのは、これまで有名人に限られていたニコニコのブログを一般開放すること。要はニコニコが、ライブドアやFC2など競合と同じようにブログサービスをはじめるという内容だった。まずは有料会員向けのサービスだが、将来的には誰でも有料ブログを使えるようになる可能性もあるだろう。

 ドワンゴのブログに対するポリシーは明確だ。夏野氏いわく、ユーザーが何を書いてもプラットフォームとして口を出すことは原則的にない。「社会通念上まずいものや犯罪性があるもの以外はOKです」。ブログが炎上してしまったときは、コメントを非表示にできるようにするなど、ツールとして対策を考えていくという。

 今回、ひろゆき氏に容疑がかかっていることは、ブロマガのようなブログサービスにとって対岸の火事ではない。犯罪性のある書き込みを削除せずに放置した場合はプラットフォーム関係者の責任が問われるが、責任の所在がどこにあるのかという判断はすべて警察に委ねられることになる。

 インターネットの犯罪行為といえば、つい先日も「遠隔操作ウイルス事件」の容疑者が処分保留で釈放されたばかり。「誰が書き込んだのか」「誰が書き込みを許したのか」の判断が非常に曖昧だったことが、誤認逮捕のきっかけとなった。警察が正当にサイバー犯罪を扱えるのか、疑問の声が集まった。

 そうした不安から、ニコニコで書いているブロガーの1人から「今後、ドワンゴが事前にブログの記事を検閲するようなことはあるか」という質問も上がった。川上氏はそれに対し、ありえないと断言する。「もしそんなことがあれば、言論の自由を侵害されていることになる。検閲はありえない」

 インターネットの犯罪捜査とプライバシーの保護は、技術的に両立がとても難しい問題だ。しかし、現在のように、警察が違法行為を見つけるために見張りを続け、事業者がそれを煙たがりながら運営を続けていくのが効率的とは思えない。ソーシャルゲームのように、自分たちのサービスを犯罪から守るため、業界単位で自主規制のガイドラインを定めている例はある。国と業界団体、両者がまっとうな方法で顔を突き合わせ、現在のネットワーク技術にふさわしい責任のありかた、業界のあるべき姿を考えてほしいと思う。

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