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販促POPもポスターも「自前」でコスト削減を!

エプソンの最新大判プリンター“MAXART”は2倍も高速化

2009年09月16日 06時00分更新

文● 企画報道編集部

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 リーマンショックから1年が経ち、市況は少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるとも言われるが、現場ではいまだに「コスト削減!」が声高に叫ばれ続けている。エプソンが16日に発表した大判プリンター“MAXART”シリーズの最新モデル「PX-F10000」(B0対応、59万8000円、税別)と「PX-F8000」(A1対応、29万8000円)は、そうした販売現場の最前線でのコスト削減に向けて投入する高速4色機だ。

MAXART「PX-F8000」

A1対応のMAXART「PX-F8000」


既存A1機から約2倍高速化したTFヘッド

中野修義氏

大判プリンターの市場概況を説明するエプソン販売の取締役マーケティングセンター長の中野修義氏。中野氏の背後にある壁紙も、MAXARTで出力したという

 両モデルは、マットブラックとフォトブラック、2つの黒インクと、従来のマゼンタに代えて金赤の表現力を高めたという「ビビッドマゼンタ」インクを採用する“顔料4色機”だ(インクは合計5種類を装着する)。印刷解像度は最高1440×1440dpi、印刷速度はB0サイズで約1.9分(360×720dpi)、A1サイズでは0.7分(同)。ランニングコストは約177円(B0)もしくは約59円(A1)。

 同社の大判プリンター“MAXART”にはこのほかに、8色インクを採用するフォト・ファインアート向けの「PXシリーズ」や10色インクの「PX-Hシリーズ」もある。今回リリースされた2機種(PX-Fシリーズ)は、4色インクと多孔ノズル(黒1440、カラー2160)の採用により高速印刷を優先したモデルに位置づけられる。従来機種(PX-7550S※1)と比べても、約2倍の高速化を実現している。

PX-7550S※1:今回の新製品と同時に、PX-7550Sは29万8000円から22万8000円に価格改定され、併売されることが発表されている。

TFヘッド

PX-F8000とPX-F10000に採用されたTFヘッド

 特にヘッドは最小3.5plのノズルを左右対称に配置して、ヘッドの往復でもインク吐出の順番が変化しない(=高速印刷と高画質を両立する)「TFヘッド」を採用。ノズルチェック機構によってインク詰まりを未然に防ぐことで、ダウンタイムも短縮している。

 また、ポスターや横断幕、のぼりなどロール紙への長尺印刷時には印刷完了時のカットが必要だが、「ロータリーカッター」を搭載し、クロス(布地)や厚手のキャンバス紙を含め、純正メディアであればすべてカット可能になっている。これもポスター印刷時の手間を最小限に抑える工夫だ。

エプソンの戦略

大判プリンターの新た需要喚起を狙うエプソンの戦略

 従来、ポスターやPOPといった販促品は、本社が大量一括生産することで生産コストを抑えるのが常識だったが、今は需要に応じて現場での臨機応変な対応が必要となる。お仕着せの販促品が必ずしも役に立たない場面があり、現場では小ロットを低コストで作成するニーズが高まっている。今回発表されたMAXART 2製品はそうした声に応えることで、昨年来の不景気による大判プリンターの踊り場状態を脱却する、というエプソンの狙いを秘めた戦略的製品だ。


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