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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

iPhoneとAndroid、どっちを使う?(続)

2009年09月10日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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 アスキー総研で行なった『iPhone利用実態調査』では、iPhoneに関して、「身につけられる、常に持ち歩けるコンピュータ」(42.9%)、「いつでもどこでも使えるコンピュータ」(38.0%)と答えた人が多かった。iPhoneは、携帯電話として売られている。そして、スマートフォンという分類で語られることが多い。しかし、「コンピュータ」でできることを、iPhoneに求めているユーザーが少なくないのだ。

 iPhoneのユーザー層については、「iPhone累計出荷台数3,000万台突破」の中でも触れた。コンピュータとしての機能まで求めているのは、1日に20回以上使う「iPhoner」とも呼べる人たちである。しかし、彼らも含めたiPhoneの満足度の高さは、コンピュータ的なことを排除したところにあるのではないかと思う。ためしに、パソコン、一般的な携帯電話、iPhone、おまけに人間(動物)を並べて、それぞれ備えているもの当てはまるものを並べてみる。

iPhone人間比較図

iPhoneの「検索」は、iPhone OS 3.0で対応したので「△」とした。携帯電話の音声認識は、一般的な機種を想定。そのほかの項目も、あくまで一般的な認識として、主観的に○△×を付けたもの。「触れただけで反応」というのは、iPhoneのメール一覧画面などで指をスライドさせると、本来スクロールしない側にもゴムのようにズレて戻る現象。

 こうして表にすると、iPhoneは、コンピュータや従来の携帯よりも、人間(動物)に近いようにも見える。

 とはいうものの、人間(動物)というのはやや言い過ぎで、紙のノートやアナログ機器に近いというのが正しいのだろう。メーラーで、検索や送信者や日付による並べ替えもできないのは、一般的な携帯電話よりも機能的には低い。しかし、ちょうど本物の手紙をパラパラと手で持って探す感覚で、画面をスクロールして見ていけばいいじゃないかというのが、iPhoneなのだ。

 iPhone OS 3.0で「検索」が追加されたのは、アプリが作り出したデータがiPhone内にたくさん溜まるようになったためだといわれる。しかし、モバイルで「検索」というのは、“いつか来た道”なのである。アップルが、1993年に発売した「Newton Massage Pad」も、「Assist」という検索が魔法の呪文のような役割をしていた。しかし、ふだんの生活の中では、検索とか、並べ替えとか、“コンピュータの世界”に頭を切り換えるのには、ちょっとした心理的ハードルがある。

 7月に「Google Voice」のiPhoneアプリが、App Storeへの登録が拒否されたというニュースが流れた。アップルは、これに関して「iPhone独自のユーザ経験を変えてしまうと思われるから」(TechCrunch JAPAN「Google Voice拒否をめぐるAppleとGoogleとAT&TとFCCのもめごと-その最終的な落としどころは果たして?」)と理由を述べているそうだ。要するに、iPhoneが、ニンテンドーDSのような非オープンなプラットフォームなのか、そうではなくてPCのようなオープンなプラットフォームかということに、ポイントがあるのではないか。アップルは、iPhoneをニンテンドーDSのようなものと考えているのではないかと思う。

 iPhoneは、少し前の言い方をすれば「IA」(インターネット・アプライアンス)、最近の言い方でいえは「MID」(モバイル・インターネット・デバイス)なのだ。つまり、コンピュータではないということである。難しいことはできなくていいし、ハードウェアの提供側がその環境の主導権を握っている。そして、簡単で、シンプルで、オシャレであるべく作られている。それは、携帯電話よりも家電に近いもので、iPhoneが音楽プレーヤーのiPodから生まれたということもそれを物語っている。

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