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SonicWALL JAPAN PEAK PERFORMANCE 2009 in TOYAレポート

北の大地が熱い!SonicWALLパートナーイベントに潜入

2009年08月17日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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8月6日、セキュリティ機器のベンダーであるソニックウォールは、パートナー向けのイベント「SonicWALL JAPAN PEAK PERFORMANCE 2009 in TOYA」を開催した。今回はTECH.ASCII.jpがプレスとして参加し、ソニックウォールの現状や普段聞けない販売代理店の生の声を聞くことができた。

パートナー向けイベントの意義

 IT関連の製品は、ベンダーが製品を販売代理店に供給し、そこからリセラーに流していくいわゆる間接販売のモデルが一般的だ。特に外資系ベンダーは、販売網の整備がビジネスの成否を握っているといっても過言ではない。シスコ、オラクル、サン・マイクロシステムズなど、国内で一定の成功を収めている外資系のベンダーの多くは、国内の代理店との強力なパートナシップがものをいっている。

 こうした販売網の整備を成功させるために行なわれるのが、販売代理店・リセラーを巻き込んだパートナー向けイベントである。ベンダーからは会社の動向や戦略、最新の製品、技術情報などが提供され、販売代理店・パートナーからは製品や営業、サポートなどに関するフィードバックが行なわれる。こうして情報共有と統一の目標設定を行ない、売上げ拡大や顧客獲得に結びつけるわけだ。

会場となった洞爺湖のウィンザーホテル

 今回、担当が招待されたソニックウォールの「PEAK PERFORMANCE」もこうしたパートナー向けイベントで、今年は「SonicWALL JAPAN PEAK PERFORMANCE 2009 in TOYA」と題し、北海道の洞爺湖で2日間に渡って開催された。イベントに集まったのは主催者であるソニックウォールの関係者や一次販売代理店のNTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)、キヤノンITソリューションズ、ソフトバンクBB、丸紅情報システムズの4社、その他、東京や京都、青森、北海道などから参加したシステムインテグレータなど。まさに日々、エンドユーザーに直接接している方々だ。

 イベントの性質上、すべてが公開できる情報ではなく、コメントも匿名のものが多い。ただ、普段見られないこうしたイベントの内情やソニックウォールの実情、そして直接お客さんに販売している営業やエンジニアの声などは可能な限り、お伝えしていきたい。

エンタープライズでの成功と
金融危機への対応

 さて、現在のソニックウォールはファイアウォール、VPN、アンチウイルス、IDS・IPS、Webフィルタリングなど複数の機能を統合したUTMが主力製品となっており、その他SSL-VPNゲートウェイやメールセキュリティのアプライアンス、統合管理ツール「Global Management System」などをラインナップしている。イベントの前半は、ソニックウォールのエグゼクティブたちがこれら製品の計画や営業、マーケティング、サポート、チャネル戦略に関して、それぞれの担当が講演するという形で行なわれた。

2年後の売り上げ倍増を打ち上げるSonicWALL日本オフィス代表のマイク小池氏

 冒頭に日本市場の戦略について語ったSonicWALL日本オフィス代表のマイク小池氏は、このUTMに関して昨年から今年にかけて、国内シェアが台数ベースで3位から2位に上がり、SSL-VPNもポイントを伸ばした点をアピール(富士キメラ総研調べ)。UTMに関してはSMBを主体とした戦略が功を奏し、またハードウェアとサブスクリプションによる収入もほぼ半分ずつでバランスのよさが伺えるという。現状、日本市場は米国に次ぐ第2の市場だが、トータルの売上は6%に留まっている。小池氏は複数の施策を用いることで、売り上げを2年後には倍にし、10%以上に拡大していくという。

 とはいえ、台数ベースではシェアを獲得したものの、金額ベースでは4位に甘んじており、エンタープライズ市場の開拓が大きな課題となっている。現在、UTMに関しては、SMB向けの「Total Secure TZシリーズ」「NSAシリーズ」のほかに、エンタープライズ向けの「NSA E-Class」が提供されている。とはいえ、SMBを中心にやってきた同社にとってみると、エンタープライズ市場は、NSA E-classや旧アベンテイルのSSL-VPN製品の買収をもって新規参入したに等しい

エンタープライズビジネスに関して講演するSonicWALL APACセールスバイスプレジデント リチャード・ティン氏

 だが、SMBとエンタープライズは「SMB市場のユーザーでは、導入までの時間も短く、コストも安く済ませる提案が必要で、決定権者も1人。それに対してエンタープライズは、導入までの時間もかかり、金額も大きい。決定権者も複数登場する可能性もあります」(リチャード・ティン氏)という違いがある。

 これに対しては「去年は主要な顧客に対してSEを割り当てるアカウント制度により、大幅な受注獲得につながった」(小池氏)という成功もあり、よりエンタープライズに特化した営業体制やサポート、ユーザー事例などの拡充を実施していくとのことだ。また、これに関してはパート2のラウンドテーブルの課題としても取り上げられた。

金融危機への対応などを語るSonicWALLワールドワイドセールスバイスプレジデント マーヴィン・ブラフ氏

 昨年は金融危機の影響もあった。SonicWALLのワールドワイドでの営業を統括するマーヴィン・ブラフ氏は「2年前、ソニックウォールは世界中のあらゆるところに進出しようとしていました。しかし、2008年に私が就任して、最悪の世界不況に見舞われ、この1年は本当に大変でした。結果としてやったのは、得意とする分野にフォーカスすること。そしてやること、やらないことを明確に見極めることでした」と述べ、人材の確保や新製品の開発・投入、マーケットの絞り込みを行なったという。

 一方で、不況の最中でありながら、セキュリティに関しては投資を確保しているところも多いため、ソニックウォールなどのベンダーにとって、従来売りきりだった製品のサービス化が重要になる。「お客様は安いUTMを探しますが、サービスに関しては必ずしもコストだけで決めるわけではありません。サブスクリプションを含めたUTMサービスを導入することで、長いおつきあいができます。パートナーさんも長期的に高いマージンを確保することが可能になります」(マーヴィン氏)とのことだ。

(次ページ、顧客満足度が低い?サポート体制に課題あり)


 

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