Luiクライアント機能を搭載
外から家のパソコンが操作できる!
このように、BR330/TAは純粋なネットブックとしても、非常に完成度の高い製品である。気軽に持ち歩けるネットブックが欲しい人にお勧めできる。
しかし、BR330/TAがほかのネットブックと異なる最大の特徴は、Luiクライアント機能を搭載したことだ。Luiとは、親機(Luiサーバー)を、子機(Luiクライアント)から自由に操るNEC独自のホームサーバー技術だ。よりわかりやすく、「PCオンデマンド」とも呼ばれている。
オンデマンドとは、「要求に応じて利用する」という意味で、ビデオオンデマンド(VOD)という言葉を耳にしたことがある人は多いだろう。時間が決まった放送ではなく、こちらの要求に応じて、見たいビデオをいつでもサーバーから配信してもらうというのがビデオオンデマンド。同じように、親機のパソコンをいつでもどこからでも利用できるというのがPCオンデマンドだ。「パソコンを離れた場所から自由に操作できるリモコンのようなもの」と考えてもよい。離れた場所と言ってもテレビのリモコンとはわけが違う。PCオンデマンドはインターネット経由で、遠隔地からでも操作できる。
BR330/TAのLuiクライアント機能は、「PCリモーターソフト」というプレインストールアプリによって実現されている。LuiによるPCオンデマンドは、パソコンの活用方法を大きく広げる画期的な機能なのだが、これまでLuiを利用するには、Windows CEベースの専用クライアント機器「PCリモーター」とPCリモーターサーバボードを搭載したデスクトップパソコンが必要だった。PCリモーターには、薄型の「ノートタイプ」とさらに小型の「ポケットタイプ」の2種類が用意されている。これらはLuiクライアント機能に特化した製品だ。
一方、BR330/TAはPCリモーター機能だけでなく、通常のネットブックとして使えるのはもちろん、Luiクライアント機能をWindows上のソフトとして実現しているため、親機となるパソコン(Luiサーバー)を操作しながら、BR330/TAで別のソフトを動かすことも可能だ。Atom搭載のBR330/TAではCPU能力が足りず、時間がかかる処理(例えば動画エンコード)も、親機に任せれば短時間で終了する。
また、共有フォルダ機能を利用すれば、親機のファイルをBR330/TAにダウンロードできるし、単に内容を確認したり、ちょっと編集したいだけなら、BR330/TA側に保存せず、親機のファイルを直接操作できる(Luiクライアント機能で親機を操作し、動作の様子を画面データとしてBR330/TA上に表示させているのだから当たり前だが)。ネットブック側にファイルを保存しないですむという点は、セキュリティー面でも安心だ。
「リモートスクリーン接続」と「リモートデスクトップ接続」の2方式を用意
Luiでは、2種類のPCオンデマンドが用意されている。ひとつは、NEC独自の「リモートスクリーン接続」と呼ばれる方法で、もうひとつが「リモートデスクトップ接続」と呼ばれる方法だ。前者は、Luiサーバー側の画面表示を圧縮してLuiクライアント側に転送する方式で、高速無線LAN環境など回線速度が十分なら動画も楽しめる(関連記事)。
それに対し後者は、Luiサーバーから文字や図形などの描画コマンドのみをLuiクライアント側に送り、描画はクライアント側で行なう仕組みだ。こちらは、動画の再生ができず、使えるソフトにも制約があるが、回線速度が遅くてもある程度快適に動く。BR330/TAのPCリモーターソフトでは、リモートスクリーン接続とリモートデスクトップ接続の両方式に対応しており、回線速度や利用目的に応じて選べる。ただし、リモートデスクトップ接続を利用するには、Luiサーバー側のOSがリモートデスクトップに対応した「Windows Vista Business/Ultimate」か「Windows XP Professional」である必要がある。