イクシアは7月8日、都内で事業戦略説明会を開催し、米本社の社長兼最高経営責任者アトゥール・バトナガー(Atul Bhatnagar)氏が、同社の事業紹介そして6月23日に買収を完了したキャタプルトコミュニケーションズ(Catapult Communications)とのシナジー効果などについて解説を行なった。
100GbEを支えるイクシアのテストソリューション
イクシアは、レイヤ2からレイヤ7までを単一プラットフォームでカバーする総合IPテストソリューションを提供するテスト機器ベンダーだ。ワールドワイドでは、ブリティッシュテレコムやボーダフォンのような通信事業者/サービスプロバイダ、シスコシステムズやジュニパーネットワークス、ノーテル・ネットワークス、モトローラのような通信機器メーカを顧客とする。
国内でも、NTTグループやKDDI、ソフトバンク、NEC、日立製作所、など大手の通信事業者やメーカに対して、通信機器やネットワークアプリケーションの性能を検証するテストシステムを提供している。
同社が得意とする分野の1つが先端の高速通信技術への対応で、幕張メッセで6月に開催されたInterop Tokyo 2009では、100GbpsのEthernet(100GbE)用ソリューションがBest of Show Award(プロダクト部門評価関連製品)のグランプリを受賞している。
買収でワイヤレステストへの進出
このように「IPとEthernetに大きく社運をかけた」(バトナガー氏)企業なのだが、一方で弱点を持っていた。それが、ワイヤレスへの対応だ。
iPhoneのようなスマートフォン、そしてNTTドコモが2010年に運用開始を予定している100Mbps以上のデータ通信速度を実現する3.9世代携帯電話サービス「LTE(Long Term Evolution)」が普及すると、ワイヤレスがIPの重要なインフラとなる。こうした状況を目前に、「ワイヤレスもやってほしい」という顧客からの要望に応えるために行なったのが、ワイヤレステスト機器ベンダーであるキャタプルトの買収だ。
キャタプルトのテスト機器は、LTEに加え、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)やCDMA、GPRS、GSMのような携帯電話システム、さらにWiMAXやIMS(IP Multimedia Subsystems)、VoIPなどにも対応する。そのため、この買収によってイクシアは、有線とワイヤレスにまたがる幅広いインフラを使うIPサービスのテストに対応するソリューションの提供が可能になる。キャタプルトの製品を手に入れたイクシアの今後について、「有線とワイヤレスが統合された世界で、リーダーでいたいと考えている」と意気込みを語った。