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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第27回

ソニーが作った「普通のネットブック」 VAIO Wをチェック

2009年07月08日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 いよいよソニーがネットブック「VAIO W」を発売する。同社のAtom搭載ノートと言えば、2009年1月に発売されて大人気となった「VAIO type P」が思い出されるが、今回発表された製品は、それとはまた別の製品。簡単にいえば「普通のネットブック」である。

 VAIO Wシリーズは、どのようなネットブックに仕上がっているのだろうか? type Pや他のネットブックとの比較を念頭にチェックしてみよう。なお今回試用したのは試作品であるため、一部の仕様が製品と異なる。そのため、ベンチマークとして掲載したデータも、製品版と多少異なる可能性がある。


正体はネットブック版「VAIO type N」?
1366×768ドットのディスプレーで実用性大幅アップ

VAIO W

「VAIO W」。本体カラーはCTOモデル限定の「ブラウン」

 VAIO Wを仕様面から見ると、「Atom N280を使ったネットブック」の一言である。特殊な機構も、極端な小型化もしていない。本体サイズは10.1型ワイドディスプレーを搭載したネットブックとしては一般的なもので、重量も1.2kg弱。数字だけを見れば、「ああ、実に普通だね」としか思えない。

 このあたりは、Atom Zシリーズを採用し、内部機構に徹底的な差異化を加えて、小型・薄型化を徹底したVAIO type Pとは対照的といえる。その代わり、VAIO Wはtype Pに比べ安い(予想実売価格は6万円前後)。価格もいわゆる「ネットブック価格」である。

VAIO type N

VAIO type N

 冒頭から結論めいたことを言えば、type Pが「モバイル」の系統だとすれば、VAIO Wは「VAIO type N」や「VAIO type F」といった、普及型ノートパソコンの系統であろう。デザインテイストもtype Nの系統と考えると理解しやすい。type Pのようにコストがかかった作りではないが、決して悪いデザインではない。

VAIO WとVAIO type Pの比較

VAIO WとVAIO type Pの比較。サイズ的には大幅に異なる。キーボード部分のサイズはほぼ同様であるが、それ以外にコストをかけたtype Pと、コストはかけずシンプルなノートを目指したW、といった趣だ

 今回試用したのは、CTO方式で販売される「VAIO OWNER MADE」モデル限定カラーであるブラウン。このほかに、ホワイトとピンクの2色が用意されており、こちらは店頭でも購入できる。

 ボディーのデザインは、丸みを帯びたシンプルなものとなっている。塗装の仕上げはマットかつさらりとした手触りで持ちやすい。ディスプレーが奥に潜り込む逆ヒンジとなっているため、ディスプレーの全高が多少低くなり、コンパクトに見える点も、他機種との違いといっていい。

全体に丸みを帯び、持ちやすいデザイン

全体に丸みを帯び、持ちやすいデザイン。塗装はマット仕上げで、さらっとした手触りになっている

 同様のヒンジを採用しているネットブックとしては「HP Mini 1000」が挙げられるが、VAIO Wはディスプレーがより奥に傾くため、机の上での使い勝手が増している。ほんの10度から15度くらいの差だが、特に後述する大容量バッテリーパックをつけた場合などには、ディスプレーの見やすさが向上するはずだ。

ヒンジは奥に沈み込む逆ヒンジタイプ

ヒンジは奥に沈み込む逆ヒンジタイプ。ディスプレーが低く見えるデザインであり、同じサイズでもコンパクトに見せられる。背面にコネクタ類はない。Lバッテリー搭載時は下方向に出っ張ることになる

 これらの点はちょっとした工夫であり、どちらかといえば「好み」に属する部分かも知れない。しかしVAIO Wには、ライバルに比べて圧倒的に優れた点がひとつある。それはディスプレーの解像度が1366×768ドットと広いことだ。これまでのネットブックが縦600ドット以内のパネルを利用していたことを思えば、大きな進歩である。

 使ってみると、ほんの少しの差であるにも関わらず、実用性が大きく上がっていることが体感できる。ネットブックの解像度が、Windowsにとっていかに窮屈で不自然なものであったかを再認識させられた。ドットピッチが大きすぎもせず小さすぎもしないことから、実用性の面ではtype Pより上、といっていい。

VAIO Wのデスクトップ画面

VAIO Wのデスクトップ画面。一回り解像度が大きいだけで「普通のパソコン」のように見える

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