初音ミク、東方アレンジ――「神曲」が歌えるカラオケ
エクシングが運営する業務用通信カラオケ「JOYSOUND」がネットで盛り上がりを見せている。
初音ミクなどボーカロイドソフトを使った楽曲、同人サークル「上海アリス幻樂団」制作によるシューティングゲームの楽曲をモチーフにした「東方アレンジ」と呼ばれるシリーズなど、ニコニコ動画で「神曲」と呼ばれる人気曲が続々と配信されているのが大きな理由だ。
配信楽曲を数字で見てみると、ボーカロイド系の楽曲で配信しているのが129曲、これからの配信予定が決まっているものが42曲。同じく東方アレンジ系では配信中のものが118曲、配信予定が18曲という業界最多の採用数を誇る(2009年4月27日時点)。
90年代、J-POP全盛期に爆発的に流行し、楽器を使わずに誰もが「歌える」ものとして文化を作ってきたカラオケ。それが今「ネット」という存在に出逢ったことで、新しい文化として生まれ変わろうとしている。
当初、ニコニコ動画のことは
「まったく知らなかった」
ブームのきっかけになったのはエクシングが運営するSNS「うたスキ」。カラオケの配信楽曲を通じ、似た趣味を持ったユーザーと交流ができるサービスだ。ネット系楽曲の採用は、そのSNSの機能の1つ「リアルタイムリクエスト機能」によるものだ。
リアルタイムリクエストは、SNS上でユーザーから「JOYSOUNDで採用してほしい楽曲」の投票を実施し、毎月得票数上位200曲を配信するというもの。現在では、そのうち約50曲がネットの人気曲、またはインディーズアーティストの楽曲となっている。
同件を担当したエクシング編成制作部の小林拓人さんは「開始当初、ニコニコ動画の存在はまったく知らなかったんですよね」と苦笑する。「メジャーアーティストのアルバム曲や、いわゆるB面のリクエストが集まると思っていたんですよ」。
リアルタイムリクエストを開始したのは2006年11月。ニコニコ動画が始まったのが翌年の2007年1月で、ちょうど動画サイトが盛り上がりはじめた頃だった。動画サイトの伸びに背中を押され、リクエスト数は爆発的にふくらんでいった。