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PowerShot G7

PowerShot G7

2006年12月22日 17時12分更新

文● 行正 和義

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PowerShot G7

キヤノン

オープンプライス
(実売価格:6万円前後)

レンズ一体型コンパクト機としてはハイスペック&ハイエンドクラスの“PowerShot G”シリーズが2年ぶりにモデルチェンジし、ついに1000万画素CCD搭載に至った。「PowerShot G7」は単に高画素化しただけでなく、新たに光学6倍ズームや光学式手ぶれ補正を搭載するなど、まさに高機能を詰め込んだ製品と言える(関連記事)。1000万画素撮像素子自体はコンパクト機でも次々とリリースされているため珍しいものではないが、マニュアル撮影機能や大口径レンズをはじめとして、コンパクトデジタルカメラの中での“高級機”を目指すGシリーズの新モデルとして期待が持てる。

銀塩カメラ風のISOダイヤルや
カーソルキー周りのダイヤルリングを装備

PowerShot G7
2年ぶりのモデルチェンジとなった「PowerShot G7」。

 箱型のコンパクトなボディーに沈胴レンズという構成はGシリーズならではのものだが、レンズは「PowerShot G6」(2004年8月発表)の光学4倍ズームから光学6倍ズームとなり、さらに広い用途に対応できるようになった。望遠撮影に対応するために、Gシリーズでは初となる光学式手ぶれ補正(レンズシフト式)を採用する点も大きな特徴と言えるだろう。

前面
レンズ周囲に配置された銀色のリングはテレ・ワイドコンバージョンアダプターを装着するためのコネクターをカバーするもの。レンズ左下にある銀色のボタンを押しながら回転させると外れる点は従来機と同様だが、黒いボディーに銀色のリング・ボタンとなったおかげでクラシカルな銀塩カメラの印象を高めている。

 Gシリーズは伝統的にボテッとしたシンプルな直方体ボディーという印象があったが、G7はがらりと印象を変えてややクラシカルな雰囲気のボディーとなった。本体上面にあるホットシュー(外部ストロボマウント)部は光学ファインダーの光学系を収めることもあってグイッと盛り上がっており、レンズ周囲は黒いボディーと対照的な“銀色のリング”があしらわれているなど、フィルムカメラの高級コンパクト機のような意匠が随所に配されている。上面にはモードダイヤルとともにISO感度設定ダイヤルを配置して、さらにクラシカルな印象を強めているが、そのダイヤルも各ポジションでクリックのある感触のいいものとなっている。

背面
周囲にリング式電子ダイヤルを持つカーソルが特徴的な背面。液晶ディスプレーの右上にある銀色の四角いボタンは再生モードでの電源ON、もしくは再生モードへの移行ボタン。

 さらに背面のカーソル部分には、新たなユーザーインターフェースとしてリングが装備された。これは基本的には電子ダイヤルと同等のもので、絞り値やシャッター速度、MF(マニュアルフォーカス)時のフォーカシングなどの操作がアナログ感覚で行なえるというもの。それぞれの操作時には画面上に各種数値がスライダー型のメーターで表示され、単に数値が表示されるよりも分かりやすい。

上面
二段沈胴レンズは大きく伸張する。画像は広角時のもので、望遠にするとさらに1.5倍程度伸びる。上面にはモードダイヤルに加えて左側にISO感度設定ダイヤルが装備された。電源スイッチはシャッターボタンの手前にある四角い押しボタンで、従来からのロックを押しながら回すタイプのレバーから変更されているが、モードダイヤルとズームレバー付きシャッターボタンは高さがあるおかげで不用意に電源が入ってしまうことはない。

 例えば、絞り優先/シャッター速度優先ではそれぞれの値をダイヤルで指定するのみだが、プログラム露出時は2つの値が同時に表示され、ダイヤルを使ってシフトさせればリアルタイムに絞り値が上がるとシャッター速度が落ちるなどして面白い。もちろん見た目に面白いだけではなく、絞りとシャッター速度の組み合わせを判断しやすくなっており、単にクラシカルな演出というだけではない“使って便利でなおかつ楽しめる”機能に仕上がっているのは非常に好印象だ。

左右側面
ストラップ金具は両側に備わっている。右側面にはAV出力およびUSB端子が配置されている。レンズ周囲のリングが、指をかけてレンズ周囲をつまむようにホールドするのにやや高さが足りないのは残念。

 ただし、カーソルとリングが近接しているため、リングを回す際にカーソルの上下に触れてしまってフォーカスモード切り替えに入ることがあり、配置にはもう少し工夫がほしかった。リング操作そのものは同社のインクジェットプリンター/複合機「PIXUS」シリーズの最新モデル(関連記事)との操作感の共通化という意味もあるのだろうが、シャッターボタン付近や背面右上などのいわゆる“普通の電子ダイヤル配置”でもそれほど不都合はなかっただろう。カーソルの上下左右に対して撮影時には各種ファンクションを割り当てるため、各設定値の変更用にカーソル以外の操作系を備えるのが最近のデジタルカメラでは流行ではあるが(本末転倒的な印象もあるが)、ダイヤルやスティックにしてもカーソルとのうまい共存というのは難しいようだ。

絞り優先時の電子ダイヤル シャッター速度優先モードの電子ダイヤル
絞り優先時の電子ダイヤルを回転させると画面下にメーターが表示され、回転に合わせて左右に数値がスライドする。シャッター速度優先モードの電子ダイヤル。絞り優先モードと同様にダイヤルの回転に合わせてシャッター速度数値が変更される。
プログラム露出モードの画面 手ぶれ補正モードはメニュー画面
プログラム露出モードではシャッター速度と絞り値が並んで表示され、ダイヤルを回転させればシャッター速度と絞り値がそれぞれ反対に動いて一定露出のままプログラムシフトする。手ぶれ補正モードはメニュー内で設定する。流し撮りモードは上下方向のみ動きを補正する。

 従来のGシリーズでは大きめのグリップ、液晶ディスプレーのバリアングル機構、上部のモノクロステータス液晶などがあったものの、これらのファンクションはすべて省略されてしまっている。特にバリアングル液晶はウェストレベル撮影の際には便利なだけに惜しいところ。

付属品一覧
専用リチウムイオン充電池とSDカードは本体下部からセットする。付属する充電器はプラグ折りたたみ式だ。

 ボディーは心地いい重さで剛性感があり、各種ダイヤルによって一見するとごつごつしたようなデザインもかっちりした操作ができて使いやすい。従来機に比べて小さくなったグリップなどによってホールド性は足りない感じもするが、小さめのポーチやバッグへの収まりはよくなり、光学式手ぶれ補正のおかげで撮影がより気軽になったのもありがたい。

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