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IXY DIGITAL1000

IXY DIGITAL1000

2006年10月05日 22時55分更新

文● 行正 和義

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IXY DIGITAL1000

キヤノン

オープンプライス
(実売価格:5万3000円前後)

デジタルカメラ高画素化の流れはコンパクトデジタルカメラにも及んでいるが、ついにコンパクト機の定番とも言うべき“IXY DIGITAL”にも1000万画素機が登場した。キヤノンの「IXY DIGITAL 1000」は、1/1.8インチ有効1040万画素CCDと光学3倍ズームレンズ、2.5インチ液晶ディスプレーなど、いかにもIXYシリーズらしい仕様となっている(関連記事)。

「IXY DIGITAL 1000」
キヤノンの「IXY DIGITAL 1000」。

 レンズは35mm換算時37~111mm相当で、同時に発表された「IXY DIGITAL 900 IS」(光学式手ぶれ補正+広角28mm)ほどの特徴はないが、ハイエンドモデルだけにいわばスタンダードな“IXYスペック”を優先しているということだろう。また、900 ISでは小型の1/2.5インチCCDを搭載しているのに対し、本機ではIXYシリーズのハイエンドモデル伝統である1/1.8インチCCDを搭載している。

前面 上部
ボディーのチタン表面は凝った仕上げが施されていないこともあってやや地味な印象を受けるフロントフェイス。とはいえレンズ周囲の鏡面部など、いかにもIXYシリーズらしいデザインとなっている。前後のパーツが曲線で合わさる最近のIXYと違い、ストレートな組み方となっている前後ボディーシェル。楕円形の電源ボタンなどもシンプルなデザインだが、隣にある電源ON時に光るインジケーターや上部スピーカーの孔なども同じ楕円となっているなど細かなところで凝っている。

 メタリックなボディはIXYシリーズの伝統だが、ボディーに純チタン素材を採用するのは新しい試みだ。チタンは軽量性・高剛性・非アレルギーなどの特徴からゴルフクラブのシャフトやメガネのフレームなど各種分野に使われている部材だが、本機では無塗装のままの“むく”の金属で利用されており、チタンの錆びにくく傷つきにくいという特性も活用されている。

側面
側面部の黒い部分は樹脂製となっている。左側面には小さな突起があって縦に置いたときの足となる。右側面は上半分がフタで、内部にはUSBとAV出力コネクタが配置されている。

 IXYシリーズは、当初から航空機用ジュラルミンの削り出し素材を使うなど、剛性と質感に特にこだわっているのだが、航空機や各種機器でも最先端部材なチタンを使うというのもIXYハイエンド機にふさわしいと言える。なお、ここ最近のIXYシリーズはボディーの前後で異なる色と素材のシェルを組み合わせる手法が用いられているが、本機では前後ともにチタンで同色同素材となっており、樹脂製の両側面のみがデザイン上のアクセントとなっている。ボディー全体が2トーンの従来機(「IXY DIGITAL 70/80」など)に比べると、少し落ち着いた印象になった。

 撮影機能やインターフェース自体は従来のIXYシリーズから大きく変更されておらず、基本的にはプログラムオートやシーンプログラムを組み合わせたもの。絞り優先・シャッターボタン優先などの機能は備わっていないものの、IXY/PowerShot系列に共通するFUNCキーの撮影時メニューのおかげで、露出補正を初めとした撮影時の操作は簡単に行なえ、操作感は極めていい。

背面
液晶ディスプレーとモードダイヤル、円形カーソルに合わせて微妙な曲面を描く背面部。液晶表示は撮影時のステータス表示+撮影補助用グリッドライン。

 また、円形のカーソルキーは“タッチホイール”と呼ばれるインターフェースが導入されている。これは「IXY DIGITAL 80」で初めて採用されたもので、カーソルに指を置くと画面上に各種機能を示す“ホイールアイコン”が表示され、アニメーションによって今どの方向に指を置いているのかが示されるというもの。カーソルキー自体がタッチ(半押し)を感知する機能を搭載する必要があるため採用する機種は少ないのだが(同時発表された900 ISなどには採用されていない)、インターフェース的に面白いだけでなく指を置くことで見えなくなるカーソルのアイコンがビジュアル的に指示されて使い勝手にも大きく貢献する。

縦位置にした背面
円形カーソルの上下左右を軽く押すと画面上にアイコンが表示され、触った部分がわずかに大きくなる。

 画像認識によって“人の顔”をはっきり写すべくAFと露出合わせを行なう“フェイスキャッチテクノロジー”が搭載されているほか、高感度撮影はISO設定で最高1600相当まで可能となっている。さらにシーンプログラムとして“ISO 3200”モードも用意されている。これは複数の画素信号を合成することで高感度にしつつノイズを抑えるもので、その分記録画素数は1600×1200ドット(200万画素相当)に制限される。通常撮影の最大記録画素数が3648×2736ドットだから、1/4以下になる計算だ。画素合成による高感度モードは最近のデジタルカメラに採用が進んでいるものだが、“IXYシリーズ”ではまだ珍しい存在だ。他社のデジタルカメラでは画素合成による高感度は600万画素→300万画素といった具合に1/2程度に抑えている中で、1/4まで小さくなる製品は少ない。それだけ多くの画素から低ノイズ画像を合成しているわけなので、確かにノイズはかなり抑えられた映像が生成される。

付属品一覧
AV・USBケーブルを除く付属品。本体下面の電池/SDカードスロットのフタの部分にはラバー系素材でできた小さなフタがあり、電池と同形状のアダプターを使ってDC入力が可能となっている。

 このほか、内蔵重力センサーによって縦位置で撮影すれば縦に表示され、再生時にも縦位置で見れば画像が自動的に回転するなど、便利な機能も従来のIXYから継承する。バッテリーは900 ISと同じく新型の“NB-5L”充電リチウム電池を採用し、撮影可能枚数は約230枚と、IXY DIGITAL 700の約150枚から大幅に伸びている。丸1日の撮影にも安心して利用できるだろう。

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