高級感と高機能を併せ持つ
完成度の高いコンパクト機
実機を使っていて気になった点としては、光学ファインダーとレンズが近いせいもあって、広角側ではファインダー視野の下側にレンズが入ってしまう。ファインダーとレンズが近いことはパララックス(ファインダーで見える範囲と実際に写る範囲の差)が少なくていいのだが、広角側で不用意な写り込みを確認できないというのもやはり困りものだ。
サンプル1 シャープな仕上がりとくっきりとした発色は見ごたえのある絵作りとなっており、1000万画素ならではの解像感もしっかりと出ている。絞り優先AE、ISO 80、1/200秒、F6.3。元画像は3648×2736ドットで、640×480ドットへリサイズおよびトリミングした。 |
サンプル2 光学式手ぶれ補正はやはり強力で、しっかりホールドすれば薄暗い場所でもかなり手ぶれを抑えることができる。プログラムオート、ISO 200、1/4秒、F2.8。 |
1000万画素という高画素撮像素子とあって、解像感はコンパクトデジタルカメラの中でも最高クラスと言える。光学6倍の新レンズの実力もなかなかのもので、広角時の周辺部での画像劣化や望遠時の描写力低下もあまり気にならない程度に収まっている。新画像エンジン“DIGIC III”(ディジックスリー)は同社のコンパクト機“IXY”(イクシー)シリーズの最新モデルにも採用されているものだが、十分な露出が得られないケースでも鮮やかな色合いに仕上げながら彩度強調の不自然さは少なく、ノイズもうまく抑えている。
サンプル3 ズームは35mm換算で35mm~と、それほど広角に強くないのが残念といえば残念だが、コンパクト機の広角レンズは周辺描写が甘くなりやすいことを考えればいさぎよい。画像でも周辺部を拡大すると、エッジの着色が見られるなどわずかに画質が劣化している。プログラムAE、ISO 80、1/30秒、F2.8。 |
サンプル4 撮影サンプル3と同じ位置からの望遠撮影。ディテールなども細かく光学6倍ズーム威力はかなり高い。35mm換算で210mmという望遠で、しかも曇天下で1/15秒というやや遅いシャッター速度でも手ぶれを抑えられるのは光学式手ぶれ補正搭載機ならでは。プログラムAE、ISO 80、1/15秒、F4.8。 |
一眼レフデジタルカメラの低価格化もあって、高機能コンパクト機という製品ジャンルは縮小しつつあり、現行製品のほとんどは“クラシカルなイメージ”によって高級感を高めている。光学式手ぶれ補正付き6倍ズームという日頃のスナップなどにとっても強力なレンズを備えつつ、細かなデザインでクラシックカメラの印象と使いやすさを両立させているG7の完成度は極めて高く、コンパクト機の中ではまちがいなく買いの1台と言えるだろう。
PowerShot G7の主なスペック | |
製品名 | PowerShot G7 |
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撮像素子 | 有効約1000万(総1040万)画素1/1.8インチCCD |
レンズ | 光学6倍ズーム、f=7.4~44.4mm(35mmフィルムカメラ換算時:35~210mm)、F2.8~4.8 |
静止画撮影 | 最大3648×2736ドット |
ISO感度 | オート、高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600相当 |
動画撮影 | 1024×768ドット/15fps、640×480ドット/30fpsなど(MotionJPEG圧縮AVI形式) |
液晶ディスプレー | 2.5インチ低温ポリシリコンTFT液晶(約20万7000画素) |
記録メディア | SDHC/SDメモリーカード/MMC(32MB MMC付属) |
インターフェース | USB 2.0、AV出力、DC入力(ACアダプター別売) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(NB-2LH) |
撮影可能枚数 | 約220枚(CIPA準拠) |
本体サイズ | 106.4(W)×42.5(D)×71.9(H)mm |
重さ | 約320g(本体のみ) |