カメラを向けるだけで画像の中から“人の顔”を認識し、その顔部分にピントや明るさ、人肌に合わせたホワイトバランスまでを自動調整する顔認識機能を搭載するデジタルカメラが増えてきた。10月末に発表された富士フイルムの「FinePix F31fd」は、同社としてはネオ一眼「FinePix S6000fd」に次いで顔認識機能「顔キレイナビ」を搭載する、待望のコンパクトデジタルカメラとなる。
基本スペックは今年3月発表の「FinePix F30」を踏襲
富士フイルムの顔キレイナビ搭載コンパクトデジタルカメラ「FinePix F31fd」。 |
基本的には2006年3月に発表された「FinePix F30」(有効630万画素)に顔認識機能を搭載したもので、基本スペックや本体の外観に大きな変更はない。撮像素子に1/1.7インチ有効630万画素の“スーパーCCDハニカムVI HR”と35mmフィルムカメラ換算時36~108mmの光学3倍ズームレンズを採用、背面には2.5インチ液晶ディスプレーを搭載するなど、基本仕様はF30と同一だ。xDピクチャーカードスロットに加えて、記憶媒体となる内部メモリーは26MBへと大容量化した(F30では10MB)。また、新たに高速赤外線通信機能“IrSimple”に対応し、赤外線経由で同社のフォトプリンター“Pivi(ピビ)”シリーズや携帯電話機へ画像をワイヤレス転送できるようになった。
F30との違いはグリップ部の指掛かりが大きくなった点。従来の楕円形のものから四角く縦に広がって指を掛けやすくなったほか、滑り止めのラバー(黒い部分)も追加されたのはうれしい。 | カーソルとその周囲の4つのボタンによって操作のほとんどが済むというインターフェースはFinePixコンパクト機に共通するもの。ズームボタンの下にある7個の丸いポッチはラバー製で、親指を当てた際の滑り止めになっている。 |
最高ISO 3200相当までの高感度撮影や、高感度撮影とフラッシュ+低感度撮影を連写して好みの画像を選べる“高感度2枚撮り”、フラッシュのプリ発光による自動調光機能“iフラッシュ”など、F30に備わったさまざまな撮影機能はそのまま継承する。撮影モードはオート、マニュアル(露出補正が可能)、“A/Sモード”(絞り/シャッター速度優先)などを本体上部のモードダイヤルで変更するもの。A/Sモードでは絞り優先にするかシャッター速度優先にするかをあらかじめメニュー内で設定しておき、絞り値かシャッター速度はカーソルで指定する。
FinePixシリーズで最近用いられているデザインスキームであるL字型モノコックが採用されており、背面から右側面にかけて厚い金属の1枚板で構成され、手に取ったときの剛性感は高い。上面のモードダイヤルで撮影モードを切り替え、高感度によって手ぶれを防止するモードもダイヤルポジションのひとつとして用意されている。 |
本体デザインは直方体形状のボディーに沈胴レンズを配置したオーソドックスなタイプで、ボタン類の配置にも大きな変更はない。本体前面に右側にある指掛かりが大型化し、グリップしたときのホールド性はよくなった。“顔キレイナビ”のON/OFFはカーソル右下にある“露出補正”ボタンと兼用になっており、撮影モードがオートの時は顔キレイナビに、M(マニュアル)モードでは露出補正に、A/Sモードではそれぞれの値をカーソルで変更するためのトグルとなっている。顔キレイナビを使用した際には人の顔に合わせた自動露出となるため、露出補正ボタンとの兼用には問題ない。
左側面にはラバー蓋内にAV出力兼USB端子とDC入力端子を備える。フタの上にある黒い部分が赤外線ポート。 |
確かに強力な顔キレイナビ
新機能である顔キレイナビも強力だ。本機は顔認識用処理エンジンを搭載した新・画像処理チップの採用などにより“世界最速”を謳うだけあって、カメラを人に向ければほぼ瞬時と言っていいほどの反応速度で画面上の顔にカーソル(四角形のインジケーター)が表示されてAFが効く。
顔キレイナビはかなりクイックに動作する。印刷物などを含めてテストしたが、風景の中からの顔の認識や動いている被写体への追従なども非常に高速だ。 |
最近のコンパクト機の多くが搭載している顔認識AF・AEだが、カメラに搭載するプロセッサーの処理速度の限界から顔認識が遅れて1秒前後かかってしまうものもある。顔認識AF・AEは記念写真などのスナップ向けということもあって、撮影時に被写体を待たせてしまっては意味がない。画像処理プロセッサを新規に起こしてでも高速化を図ったという同社の姿勢は高く評価できるだろう。
同梱品はUSBケーブルとAVケーブル、ACアダプターなど。本体下部は半分程度が大きく開いて電池とxDピクチャーカードスロットが現れる。 |