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マイクロソフト、Windows Vistaの新機能に関する説明会を開催――ハード/ソフト開発者向け支援策も発表

2006年11月21日 23時27分更新

文● 編集部 小西利明

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新機能のひとつである“Windowsエクスペリエンスインデックス”については、これを利用した面白い試みが語られた。Windowsエクスペリエンスインデックスとは、Vistaの“パフォーマンスの情報とツール”で測定する、そのパソコンの性能指標を数値化したもの。CPU、メモリー、グラフィックス性能、3Dグラフィックス性能、HDD性能の5分野について数値化を行ない、そのパソコンのどこに性能面でのボトルネックがあるか、どこをアップグレードすれば快適になるかの目安となるものだ。

パソコンのVista快適度を示す“Windowsエクスペリエンスインデックス”。現在の最大値は5.9だが、今後ハードウェアの向上に従って、最大値も上がるという
パソコンのVista快適度を示す“Windowsエクスペリエンスインデックス”。現在の最大値は5.9だが、今後ハードウェアの向上に従って、最大値も上がるという

同社Windows OSマーケティング部 シニアプロダクトマネージャの飯島圭一氏は、このインデックスをアプリケーションを購入する際の目安にしたいというプランを語った。現在のソフトウェア製品は、動作環境としてさまざまな情報を提示しているが、これだけでは“そのアプリケーションが快適に動くのか”が分かりにくい。特にゲームソフトやマルチメディアソフトでは、必須動作環境と快適な動作環境がはなはだしく異なる場合が多く、ユーザーの頭を悩ませる原因となっている。そこでアプリケーションのパッケージなどに、目安となるインデックスを付けるように働きかけているという。ユーザーは自分のパソコンのインデックスとアプリケーションが求めるインデックスを見比べて、そのアプリケーションが自分の環境で快適に動くかどうかを判断しやすくなるというわけだ。今後の展開に期待が持てる要素と言えよう。

Vistaに含まれるゲームを元にしたインデックス活用の例。3Dグラフィックスを使うチェスゲーム“Chess Titans”の必要および快適なインデックスが、画面右に表示されている。市販のアプリケーションにもインデックスの活用を促す
Vistaに含まれるゲームを元にしたインデックス活用の例。3Dグラフィックスを使うチェスゲーム“Chess Titans”の必要および快適なインデックスが、画面右に表示されている。市販のアプリケーションにもインデックスの活用を促す

この他にも飯島氏によるプレゼンテーションでは、Windows XPのパソコンから新規導入のVistaパソコンに対して、ユーザーデータを簡単に移行する“Windows転送ツール”や、アプリケーションの高速起動を実現するメモリー管理システムの新機能“Windows SuperFetch”などが説明された。転送ツールはXPにも同種のものが搭載されているが、Vista版では“イージートランスファーケーブル”と呼ばれるUSB接続の転送ケーブルを使い、新旧2台のパソコンをUSB経由で直結して、簡単にデータの転送を行なえるようになるという。

飯島氏が掲げているのが“イージートランスファーケーブル”。XPのパソコンとVistaのパソコンを、USB経由で直結する
飯島氏が掲げているのが“イージートランスファーケーブル”。XPのパソコンとVistaのパソコンを、USB経由で直結する

Windows SuperFetchは、ユーザーが頻繁に使うアプリケーションを識別して、OSの起動時に自動的にメモリーにアプリケーションをプリロードする機能を備える。これによって、頻繁に使うアプリケーションの起動を高速化しようというわけだ。またキャッシュとスワップアウトのアルゴリズムにも改良が加えられている。たとえばシステム未使用時(アイドル時)にだけ動作するプログラム(ウイルスチェッカーや検索用インデックス作成)などが実行され、メモリー上のアプリケーションがHDDにスワップアウトされた場合、XPではアプリケーションを再びHDDから読み込む必要があり、結果として体感パフォーマンスを低下させていたが、Vistaではアイドル時のみのプログラムは、用が済むと自動でメモリー上から消え、元のアプリケーションが再びメモリー上に展開されるとのことだ。

この他にも、ディスプレー上での可読性を向上させた新システムフォント“メイリオ”や、Vistaの新しいバックアップ機能、ファイル復元機能(ボリュームシャドウコピー)などの解説が行なわれた。余談だが、記者はVistaのInternet Explorer 7(IE7)上で、メイリオを表示フォントとして利用している。ClearTypeと組み合わせた時の可読性は高評価できる一方で、日本の掲示板で盛んなアスキーアートを表示すると、特に縦方向の長さや行間が既存フォントと大きく異なるため、図形が崩れてしまうという現象を確認している。メイリオの思わぬ弱点?と言えるだろうか。

エンターテイメント面の機能として、マイクロソフトが次世代の表示環境と位置づける技術“Windows Presentation Foundation”(WPF)も披露された。WPFは非常に応用範囲の広い技術だが、今回はウェブベースのコンテンツの表現力を高める側面から紹介されている。IE7でWPF対応の画像入り文書を表示するデモでは、ウィンドウのサイズに合わせて文書の段組表示や画像のサイズ、文字の回り込みが動的に変化する様子を披露。HTMLベースの現在のウェブページよりも、格段に見やすい表示が可能になることを示した。

“Windows Presentation Foundation”による文書表示のデモ。2段組表示されているが…… ウィンドウサイズと表示の拡大率に合わせて、文字サイズから段組、画像の配置も動的に変更される
“Windows Presentation Foundation”による文書表示のデモ。2段組表示されているが……ウィンドウサイズと表示の拡大率に合わせて、文字サイズから段組、画像の配置も動的に変更される

またVistaの3Dグラフィック機能も利用して、3D空間の中で大量の情報を小さな立方体型オブジェクトとして表現したり、情報の書かれたパネルを回転ドアのように回転させる表現を加えたりといったデモも披露された。デモで披露されたコンテンツが使いやすいかはともかく、3Dグラフィック機能をコンテンツが利用しやすい方法で提供することにより、既存の静的なウェブコンテンツとは比較にならない表現力を持った、新しい時代のウェブコンテンツが作成できるという可能性は感じられる。なおWPFの一部の機能は、Windows XP向けにも提供される。またIE7以外のウェブブラウザーでもWPF対応コンテンツを表示するためのサブセットプログラムの提供も検討されているとのことだ。

(株)リクルートのグルメ情報誌“ホットペッパー”と共同開発したデモ。リアルタイム3Dグラフィックスを使い、立方体状に各地域のレストラン情報をまとめている。背景に見える立方体は別の地域の情報 立方体の各面には、サムネイル状に各店舗の情報が並び、クリックすると概略、さらに詳細も表示できる。詳細表示は前述のデモのように、ウィンドウサイズに合わせてレイアウトを変えられる
(株)リクルートのグルメ情報誌“ホットペッパー”と共同開発したデモ。リアルタイム3Dグラフィックスを使い、立方体状に各地域のレストラン情報をまとめている。背景に見える立方体は別の地域の情報立方体の各面には、サムネイル状に各店舗の情報が並び、クリックすると概略、さらに詳細も表示できる。詳細表示は前述のデモのように、ウィンドウサイズに合わせてレイアウトを変えられる
WPFによるカーレースの情報表示デモ。TVの中継映像のような中央画面のほかに、車載カメラやピットの映像を任意に選択できる。任意のドライバーに表示を切り替えることも可能で、まさに次世代のスポーツ観戦の姿といったところだ
WPFによるカーレースの情報表示デモ。TVの中継映像のような中央画面のほかに、車載カメラやピットの映像を任意に選択できる。任意のドライバーに表示を切り替えることも可能で、まさに次世代のスポーツ観戦の姿といったところだ

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