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3D CG制作ワークフローのキーは「インターオペラビリティーです」――オートデスクとエイリアスシステムズの合併後をデイブ・ウォーリー氏に直撃

2006年05月25日 15時15分更新

文● 千葉英寿

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オートデスク(株)は19日、東京・六本木の六本木ラフォーレミュージアムにおいて同社のメディア&エンターテインメントディビジョンが担当する同社の3D CGツールの活用事例などを紹介するセミナー“Autodesk 3D Workflow Solution Seminar”を開催した。同セミナーは米オートデスク(Autodesk)社がカナダの旧エイリアスシステムズ(Alias Systems)社を買収後、国内で最初に行なう大規模イベントと言える。これに先駆けて18日、東京・用賀の同社オフィスで来日中の米オートデスクのメディア&エンターテインメントディビジョン ワールドワイドセールス バイスプレジデントのデイブ・ウォーリー(Dave Wharry)氏に、合併の経緯と経過、ならびに今後の製品戦略について話を聞いた。

デイブ・ウォーリー氏
米オートデスクのメディア&エンターテインメントディビジョン ワールドワイドセールス バイスプレジデントのデイブ・ウォーリー氏

米オートデスクは『AutoCAD』や『3ds Max』など3Dオーサリングツールの発売元であり、同社が2005年10月に買収した旧エイリアスシステムズは大ヒットしたファンタジー映画“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズを始め、ハリウッドのほとんどの映画やゲームの映像作品など、数多くのVFX(特殊映像効果)に活用されている『Maya(マヤ)』を擁する、3Dグラフィックス テクノロジーのトップ企業だ。

今回インタビューの機会を得たバイスプレジデントのウォーリー氏は、旧エイリアスシステムズのグローバルセールス&マーケティング担当バイス・プレジデントとして活躍してきた経緯もあり、オートデスクでもほぼ同じ職位の現職に就任している。以前より日本には、年3回程度のペースでオフィスのあるカナダ・トロントから来日しており、今回で通算15回目の来日になるという。

[――] 今回の来日の主な目的は何でしょうか?
[ウォーリー氏] 私が数多く来日しているのには、日本を重要な市場と捉えているのと同時に、業界トップのゲーム開発者に直接話を聞けるということがその理由にあります。特に今回は3つの理由があります。まずひとつは、ゲーム開発者や大手ゲーム会社との懇談ですが、もうひとつがオートデスクジャパンとエイリアスジャパンの合併後の状況についての確認です。そして最後に、19日に行なう“Autodesk 3D Workflow Solution Seminar”に出席することです。
[――] オートデスクとエイリアスの合併の経緯についてお聞かせください。
[ウォーリー氏] まず2005年10月にオートデスクによるエイリアスの買収についての発表がありました。そして、今年1月に買収が完了しました。合併の主な理由は、お客さまの要求が単なるフィーチャー(特徴的な個々の機能)だけではない、ということです。新たなフィーチャーではなく、現在のワークフローを改善するソリューション(解決策、統合的な機能)を必要とされている、ということです。
[――] では個別製品への投資は、今後抑えていくのでしょうか?
[ウォーリー氏] いいえ。私たちはイノベーション(変革)を重視し、総務や人事などにかかる投資を抑え、Mayaや3ds Max、『MotionBuilder(モーションビルダー)』(3D CGアニメーション制作ツール)といったソフトに対する投資額は、これまでと同じ規模で今後も継続していきます。製品への投資は、“データの複雑化に対応していく必要がある”と考えているからです。ひとつは、“次世代ゲーム機”への技術対応、パイプラインのアビリティー向上、そしてワークフロー全体に対してです。
とりわけワークフローについては、私たちの製品だけではなく、サードパーティーやお客さまの作られたツールに対しても、ということになります。すべてを組み合わせて、管理しやすいソリューションを作り上げていく必要があると考えています。


デイブ・ウォーリー氏
[――] ワークフローの構築において、キーとなるものは何ですか?
[ウォーリー氏] フォーカスすべきキーポイントは、“インターオペラビリティー(相互運用性)”です。それには3Dコンテンツの交換と再活用のために広く利用できるフォーマット“FBX”があります。これは、Mayaや3ds Max、MotionBuilderなどを繋ぐ、スタンダードなトランスポートメカニズムです。
[――] ワークフローを整備するとともに、より似通った特徴のある製品を整理することもあるのでしょうか? 例えば、Mayaと3ds Maxのどちらかの開発が取りやめになるといったことですが。
[ウォーリー氏] まず、Mayaも3ds Maxもどちらも“成功している製品”だということを申し上げておきたいと思います。いずれについても、これまでよく伸びてきましたし、今も30~50%の伸びがあります。いずれも引き続きサポートするに足るプラットフォームなのです。また、いずれの製品もそれぞれの得意とするマーケットごとに重要なポジションを得ています。Mayaは映像制作の分野において、3ds Maxはデザインや設計/アーキテクチャーの分野においてです。
同時に、ユーザーのみなさんはプラットフォームを変えたいとは思っていないということがあります。長期的に見てフォーカスすべきはインターオペラビリティーであり、短絡的にどちらかの開発を終了するとか、一方の製品に集約するということはありません。いずれの開発チームも継続されます。ただ、今後はお互いの製品にとって有効な機能をお互いに取り入れていくことは進めるだろうと思います。
[――] Mayaはこの数年、Macintosh市場にフォーカスして、一定の成功を収めてきたように思います。これに習って3ds MaxがMac OS向けに移植される可能性はあるのでしょうか?
[ウォーリー氏] 3ds MaxをMac OS向けに移植する計画はありませんし、この移植が難しいかどうかすらも現在は分からない状況です。ただし、Macintoshマーケットはメディア&エンターテインメント分野において大変重要だと考えています。現在、Mayaのユーザーの20%はMacユーザーです。今後は技術/市場/ビジネスの面から、その可能性については検討していきたいと思います。
[――] オートデスクと言えば、AutoCADなどCAD製品との連携も切り離しては考えられないと思いますが。
[ウォーリー氏] オートデスクのコアは“3Dデザイン”にあります。今後は(AutoCADでも)Mayaや3ds Maxなどと連携した映像制作ができるだろうと思います。例えば、建築物などの映像にアニメーションで住人の動きや、ビルや地下鉄のエントランスに入っていく人の流れ、雲がビルの窓に映り込む様子なども表現できるでしょう。もうひとつ、これはとても大きな需要なのですが、最近は大手自動車メーカーでビデオ(動画)をどんどん作っています。新車のデジタルモデルが映像の中に描かれ、周囲の風景に自然にとけ込んだものです。ここでは(AutoCADに加えて)『Autodesk Alias Studio』やMayaが、すでに活躍しています。


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