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日立GST、2005年のHDD市場動向と今年以降の戦略について説明――パソコンおよび家電向けの最大容量の500GB HDDも発表

2006年04月12日 17時58分更新

文● 編集部 小西利明

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1インチHDDを内蔵する携帯電話のデモ機を手にした、米日立GST 上級副社長のウィリアム・C・ヒーリー Jr氏 3プラッターで容量500GBを実現した『Deskstar T7K500』
1インチHDDを内蔵する携帯電話のデモ機を手にした、米日立GST 上級副社長のウィリアム・C・ヒーリー Jr氏3プラッターで容量500GBを実現した『Deskstar T7K500』

(株)日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は12日、東京都内の本社にて報道関係者向けの説明会を開催し、2005年のHDD市場におけるビジネス状況と2006年以降の戦略について説明を行なった。デジタル家電分野で大容量ドライブへのニーズが急拡大している3.5インチ型を強化していく。また同日デスクトップパソコン向けの3.5インチHDD“Deskstar”シリーズと、デジタル家電向けに特化した新ブランドの3.5インチHDD“CinemaStar”シリーズなどのHDD新製品も発表した。

説明会ではまず同社代表取締役社長の田宮敏彦氏により、同社の2005年のビジネスについてが説明された。田宮氏は2005年全般の状況について、「かなりの台数を出した。キャパシティーがあればもう少し出せたかなと思っている」と述べ、ワールドワイドの出荷台数は前年比25%増の5840万台、2005年第4四半期は黒字を確保するなど、好調に推移しているとした。ただし通年での黒字化については、難しいとの見通しを示した。2005年のトピックとなる製品としては、パソコンやHDDレコーダーで使われる3.5インチHDDで500GBの製品を投入したほか、1.8インチHDDは年率100%の伸び、さらに新しいフォームファクターの1インチHDD『Microdrive 3K8』“Mikey(マイキー)”などが挙げられた。

日立GST 代表取締役社長の田宮敏彦氏 世界全体での日立GSTの2005年の業績を示すグラフ。台数の伸びが好調で、第4四半期には黒字を計上した
日立GST 代表取締役社長の田宮敏彦氏世界全体での日立GSTの2005年の業績を示すグラフ。台数の伸びが好調で、第4四半期には黒字を計上した

2004年よりノートパソコンなどに実装してフィールドテストを行なっていた垂直磁気記録方式を採用したHDDについては、2005年4月の発表で230Gbit/平方インチを実証するなど開発が進んでおり、その後の質疑応答では2006年後半には2.5インチHDDで製品のOEM出荷を開始すると述べられた。垂直磁気記録方式HDDについては、急速に量産を立ち上げるとしている。

同社は2003年に米IBM社のHDD事業部門を買収する形で設立されたが、そのIBMが最初のHDD“RAMAC”を開発してから、今年でちょうど50周年になるとのことで、同社や日立グループでは、HDD生誕50周年を1つのキーワードとして掲げている。田宮氏はHDDの今後について、「磁気記録技術に代わるストレージは現状存在しない。相当な期間HDDの時代が続く」と述べ、RAMACから最新の500GB HDD『Deskstar T7K500』の間に、5000万分の1のダウンサイジングが実現されたと誇らしく語った。今後の技術革新による記憶容量増大についても、現在は年率40%増程度の割合で伸び続けており増大は続くという。またデジタル家電分野の需要拡大により、2008年には全HDD出荷の24%程度はデジタル家電向けとなるとの見方も示された。これにより、売上規模も複数年に渡って継続して拡大するという、楽観的な見通しが述べられた。

最初のHDD“RAMAC”と、現代のDeskstarを比較したスライド。説明会の始まる前に、会場ではRAMAC開発当時のニュース映像が流れていたが、直径24インチ(約61cm)の巨大な剥き出しの円盤がギッシリと並んでいて、現代のHDDしか知らない者にとっては、とてもHDDの先祖には見えないほど
最初のHDD“RAMAC”と、現代のDeskstarを比較したスライド。説明会の始まる前に、会場ではRAMAC開発当時のニュース映像が流れていたが、直径24インチ(約61cm)の巨大な剥き出しの円盤がギッシリと並んでいて、現代のHDDしか知らない者にとっては、とてもHDDの先祖には見えないほど

田宮氏に続いて講演を行なった、米日立GST社上級副社長のウィリアム・C・ヒーリー Jr(William C. Healy Jr.)氏は、現在のHDD市場の分析を披露。ビデオ容量の増大によって、特にHDDレコーダーやHDD内蔵セットトップボックスに大きなチャンスがあるとした。特にビデオ映像がNTSC/PALベースのSD(スタンダード)画質から、4倍近い記憶容量を必要とするHD(ハイデフィニション)画質へと移行している点が、記憶容量に対するニーズを押し上げているとの見方を披露した。特にHDDレコーダーなどデジタルビデオ機器に使われるHDDの数量は、2009年までは年率80%増の割合で増加し続けるとの調査会社によるレポートも示された。

HDDレコーダーをターゲットにした新ブランドHDD“CinemaStar”を披露するヒーリー氏
HDDレコーダーをターゲットにした新ブランドHDD“CinemaStar”を披露するヒーリー氏

特に同社が重視するのが、パソコンやHDDレコーダーなどに使われる3.5インチHDDである。同社の製品ラインナップでは、Deskstarブランドの3.5インチHDDがそれに該当するが、今回新たにHDDレコーダーをターゲットにした新ブランド“CinemaStar”を発表し、デジタル家電分野への取り組みをさらに強めていく方針が示された。CinemaStarシリーズは、同時に発表されたDeskstar 7Kシリーズと記憶容量やプラッター枚数などは同一だが、家電用途を考慮し、ビデオデータのスムーズな転送を実現する“ATA-7 AVストリーミングコマンドセット”をサポートするほか、低騒音化や低消費電力性能を重視しているという。発表された『CinemaStar 7K500』『CinemaStar 7K160』の主な仕様は下記のとおり。

CinemaStar 7K500
記憶容量/プラッター枚数:500GB/3、400GB/3、320GB/2、250GB/2
面記録密度:118Gbit/平方インチ/回転数:7200rpm/キャッシュメモリー容量:8MB/平均シークタイム(リード):14.0ミリ秒/騒音(アイドル時):3.0/2.8bels/インターフェース:シリアルATA(300MB/秒)、パラレルATA(133MB/秒)
CinemaStar 7K160
記憶容量/プラッター枚数:160GB/1、80GB/1
面記録密度:120Gbit/平方インチ/回転数:7200rpm/キャッシュメモリー容量:8MB/平均シークタイム(リード):14.0ミリ秒/騒音(アイドル時):2.5bels/インターフェース:シリアルATA(300MB/秒)、パラレルATA(133MB/秒)
HDDのサイズ別応用製品の例
HDDのサイズ別応用製品の例

また3.5インチHDD市場については、上記の2ブランドに加えて、新たにニアラインストレージ向けのブランドも発表予定とされている。一方、それ以外のHDDの応用製品としては、2.5インチHDDはノートパソコンに加えて家庭用ゲーム機(※1)に、1.8インチHDDは携帯型ビデオプレーヤーやビデオカメラに、さらに小さな1インチHDDは、ビデオカメラや携帯型オーディオプレーヤー、スマートフォンなどで利用されるとした。1インチ以下のサイズのHDDについては、高容量化と低価格化の著しいフラッシュメモリーとの競合が激しく、市場性に対して疑問を示すHDDメーカーもある。これについてヒーリー氏は、1インチHDDを採用する応用製品はビデオ再生機能などのニーズがあるため、容量/価格比に優れるHDDが優位であるとした。一方で容量/価格比の優位が保ちにくい1インチ未満のHDDについては、同社としては参入しないとの考えが示された。

※1 Xbox 360やプレイステーション3(予定)は、2.5インチHDDを採用している。

ヒーリー氏はまとめとして、HDDはこの20年間で20億台が出荷されたが、向こう5年間ではさらに20億台が出荷されるだろうとして、HDDビジネスには絶好の時期であるとの見解を示した。そして「優れた技術と研究を持つ製品によって、同社はHDD業界のリーダーの位置を確保していくだろう」と述べた。

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